初回に3点を取り合うも、攻め続けた片倉が7回コールド勝ち

先発・朝倉君(都立武蔵)

 秋は、さまざまな学校行事も多い。都立片倉は、前日までは学校祭で、どこかにその余波を残しながらも、前日は行事が終わってから、会場校としての準備をしたという。都立校としては、会場校として設定されるのは都立片倉含めて4校しかない。どのような状況であれ、会場校としては、やはりホームグラウンドを提供しているという意地でも、本大会へ進出は果たしたいところであろう。

 夏休みに入って新チームがスタートすると、8月になると岐阜遠征、長野遠征を組んでいるという都立片倉。遠征試合を経験して、異なった野球を経験することで、それを選手たちが肌で感じてチーム作りに生かしていこうという方針だ。

 そんな都立片倉に、部員10人の都立武蔵は初回、堂々とぶつかっていって、それが功を奏した。もっとも、10人とはいえ都立武蔵の選手たちは夏の大会からメンバーに入っている選手も多く、そういう意味では経験も豊富で、新チームの序盤としては、経験が生きて臆することなく試合に入れるということもあったのではないだろうか。

 初回の都立武蔵は、死球とバント、さらに四球で二死一二塁として、5番朝倉君が中前打して満塁。都立片倉の伊藤充君はここまで、得意の縦のスライダーが決まらずストライクを取りに行ったストレートを重松君に右中間に運ばれて走者一掃。都立片倉としては、少し苦しいスタートとなった。

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2ランを放った秋山君(都立片倉)

 しかし、自力では勝る都立片倉である。すぐに四球と失策でチャンスを作ると、4番中島君が右中間を鋭く破りたちまち1点差で、自身も暴投で帰って同点とした。

 なおも継続して作っていた好機は生かせなかったものの、すぐに追いついたあたりはやはり力がある。そして2回は伊藤君が縦スライダーも決まって、3人で抑えると裏の攻撃前は、宮本 秀樹監督がベンチ前で、「よし、この回からもう一度やり直しだぞ」と檄を飛ばす。先頭の9番稲葉君が左前打で出ると、小松君もポテン安打でつなぎながらも盗塁失敗などで、二死二塁から3番佐々木君が右越二塁打して都立片倉がリードを奪う。さらに四球後、矢口君が右中間を破って追加点。そして、「このところちょっと調子がよくないので、4番から下げていた」(宮本監督)という秋山君が左翼へ2ランを放った。これで、完全に試合は都立片倉の流れとなった。

 3回から、都立武蔵の河合知也監督は中堅手の重松君と投手の朝倉君とが入れ替えた。しかし、重松君は、やや制球がまとまらないところもあって、3回は安打に2つの暴投と失策もあって、2点を失う。さらに4回にも、四死球でチャンスを作った都立片倉が、7番木村君の右前へのタイムリー安打で2点を追加した。こうして、都立片倉は一気にリードを広げていった。

 それでも、重松君も5回、6回はスローカーブが相手の打ち気を交わしていく効果もあって、無安打で押させた。しかし、伊藤君と7回にリリーフした高橋歩武くんを攻略しきれず、結果的にはコールドゲームとなってしまった。

 都立片倉の宮本監督は、初回の3失点ということもあって、「快勝という形ではないですよね。何となく、立ち上がり不安があるのかなぁ。普通に投げていけばいいんですけれどもね」と、伊藤君の立ち上がりの失点には、やや不満だった。しかし、打線に関しては、近年の中でも一番いい仕上がりを感じているという様子だった。

(文=手束 仁)

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