戸塚が驚異の粘りで5点差を追いつき、最後は延長10回、逆転サヨナラ

二番手でマウンドに上がった毛塚君(法政二)

 高校野球というのは、ちょっとしたことで試合の流れが急転することがある。ワンサイド気味だった試合が、たちまち接戦になっていくということはよくあることだ。まして、チームとしての経験の浅い秋季大会などでは、しばし見られるケースである。この試合も、まさにそんな展開だった。

 前半は法政二が細かく得点していく。まず初回、四球の1番高根君を内野ゴロで進めると、4番上田君が左前打して先制。2回にも右前打で出た梅木君がバントなどで三塁まで進むと、7番中澤君が左前打して2点目。そして、法政二の先発長谷川君は、4回に大庭君、川端君に連打されて無死一二塁のピンチを迎えるものの、後続を抑え最後はけん制で刺すなどして無失点。そして法政二は5回にも、二死三塁から3番片瀬君、4番上田君の連打に四球を挟んで須山君の左前打などで3点を追加して、リードを広げていった。

 戸塚は前半の中では4回が好機らしい好機だったが、そこを封じられたことでワンサイド気味になっていくのかと思われた。

 ところが、グラウンド整備後の6回、コロッと流れが変わった。法政二が無死の走者を生かせないとその裏、戸塚は1番からの好打順を生かして秋山君、大庭君が連打して一二塁。川端君は内野ゴロだったが、法政二は併殺が取れず、一死一二塁。ここで4番大村君が左中間に運ぶ二塁打で1点を返してなおも二三塁。勢いづいた戸塚は、さらに原田君と中川君が安打して2点が入り、なおも一三塁。たまらず、法政二ベンチは長谷川君を諦め、1番をつけた左腕毛塚君を投入するが、死球を与えてしまい満塁。二死後、遠田君には四球となり押し出しでついに1点差となってしまった。

関連記事・2015年秋季大会特設ページ・あの学校の取り組みは?!神奈川県の野球部訪問を一挙紹介!

サヨナラのホームを踏んだ羽原君(戸塚)

 それでも、法政二は7回に梅木君の安打と四球、内野安打で満塁として暴投で1点を加え、これがそのままダメ押しになるのかと思われた。しかし戸塚は9回、驚異の粘りを見せる。

 反撃は一死後、代打小橋君が中前打で出るところから始まる。1番に返って秋山君は四球。ここから大庭君、川端君、大村君がいずれも球に逆らわずピシっとはじき返して3連打。これで同点となった。なおも一死満塁で、戸塚はそのままサヨナラのチャンスだったのだが、ここは法政二の毛塚君が何とかこらえる。

 そして、法政二は10回に一死満塁で途中出場の佐竹君の左犠飛でもう一度リードを奪う。その裏を乗り切れば、遠回りではあったが、法政二が勝利を奪うことになったのだが、戸塚はさらに粘りを見せた。

 先頭の五十嵐君が四球を選ぶと、法政二は4人目として蒔田君を投入。しかし、蒔田君も苦しい場面でのリリーフで、もう一つ制球が整わず四球を与えて無死一二塁。寺西君がきっちりと送って一死二三塁として、戸塚は三度目の同点機となる。ここで、1番の秋山君は期待に応えて中前打。三走五十嵐君はゆっくり同点のホームインを果たしたが、本塁への送球がそれる間に、二走の羽原君が一度は三塁で止まっていたが、一気に本塁を陥れてサヨナラが成立した。

 歓喜に沸く戸塚ベンチと、がっくりとする法政二ベンチ。対照的なシーンだったが、まさに、わずかなところから、試合の流れがあっちこちへ移動するという試合で、ベンチも応援するスタンドもハラハラドキドキの試合だった。選手たちは、こういう試合を経ながら成長していくのであろう。

(文=手束 仁)

関連記事・2015年秋季大会特設ページ・あの学校の取り組みは?!神奈川県の野球部訪問を一挙紹介!