早稲田実業vs東農大一

新チーム初戦から清宮幸太郎の2打席連続本塁打を含む12得点で5回コールド発進！

2打席連続本塁打を放った清宮 幸太郎（早稲田実業）

　秋の清宮騒動の幕開けだ。　今夏の甲子園ベスト4という成績に加え、先日開催された第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップで1年生ながら4番を打った清宮 幸太郎擁する早稲田実業の新チームの初戦とあって、多摩市一本杉公園野球場には朝早くから多くの観客と報道陣が駆けつけた。

　1番・西田、2番・渡部の2者連続三振から始まった早稲田実業の攻撃。嫌な流れを断ち切ったのは、3番・清宮。清宮が振り抜いた打球は中前安打となる。続く4番・金子 銀佑が右翼線へ打球を運び、これで清宮が生還し先制に成功。さらに5番・岡本の打球が相手のミスを誘い、もう1点。

　ここから6番・小掛、7番・福本が連続四球で出塁し、二死満塁の好機を作る。このチャンスに8番・吉村 優の右前への安打で2者が生還しリードを4点に拡げる。

　しかし、東農大一もすぐさま反撃を試みる。一死から2番・安達、3番・柳澤、4番・中村の3者連続安打で一死満塁とすると、早稲田実業のミスで1点、6番・村上の左前安打で1点の合計2点を返し、反撃ムードが漂った。

　ここで東農大一の反撃ムードを払拭したのは、またしても清宮であった。一死二塁で迎えた清宮の第2打席は、ライトフェンスを越える新チーム第1号本塁打。客席からは、感嘆の声が聞こえるも清宮は顔を引き締めダイヤモンドを回る。

　そして、4回に一死一、二塁で迎えた清宮の第3打席では、2打席目に続き連続の本塁打。さらに二死から5番・岡本と6番・小掛の連続四球でチャンスを作り、7番・福本が左前安打で、追加点を挙げる。この回にも4点を奪い、甲子園でも圧倒的な打力を見せた早稲田実業らしさが垣間見えた。

先制の適時打を放った金子 銀佑（早稲田実業）

　5回表に3つの四球から作ったチャンスから2点を追加し10得点差をつけた早稲田実業。

　5回裏には、甲子園でも登板のあった服部 雅生がマウンドに上がる。甲子園でつけていた背番号18番は1番に変わっていた。新たにエースナンバーを背負っての投球。打者3人でしっかりと抑え5回コールドゲームが成立。

　試合後に和泉 実監督は、12対2の5回コールド勝利を収めるも、チームについて「ガチガチですね」と振り返る。清宮 幸太郎の2本塁打の活躍に関しては、「あの（日本代表）中でやってきたわけですから、詳しいことはわかりませんが、今日は結果として2本（本塁打が）出たのは成長の証ではないでしょうか」と活躍を讃えた。

　また、3番・清宮（安打、本塁打、本塁打、四球）、4番・金子 銀佑（先制三塁打、安打、ゴロ、犠飛）の活躍について、「彼らは経験者ですからね」と期待を込めた表情を見せる。

　和泉監督の話でも出てきたように、一番注目が集まった2本の本塁打について清宮は、「1本目は打った瞬間に入ったと思いました。2本目は、（公式戦では初のセンター方向への本塁打）打った球がボール球だと思うんですけど、入るとは思っていなかったのでびっくりしました」と振り返る。

　甲子園が終わり、休む暇もなくU-18侍ジャパンメンバーとして戦ったU-18ベースボールワールドカップ。東京に戻り早稲田実業の練習に復帰したのは2日前の木曜日。

この秋はどんな活躍を見せていきたいかと問われると、「今までは1年生でメンバーに入れてもらって、3年生に引っ張っていただいた部分がたくさんありましたが、新チームになって次は自分がチームの中心になっていくと思うので、ずっと今日みたいな活躍を継続し、チームをしっかりと引っ張っていけるようにしたいです」疲れを見せずに笑顔で答える清宮。緊張感のある夏の試合を乗り越えて、精神的に逞しくなり、自覚も芽生えてきた清宮の姿がそこにはあった。

　新チームでの抱負も新たに、いきなり初戦で二打席連続本塁打とインパクトある活躍を見せた清宮。周囲の期待に応える活躍で、この秋も早稲田実業と清宮 幸太郎のパフォーマンスが見逃せなくなった。

（文＝佐藤 友美）