鈴木拡樹、自称“不器用男子”の恋と本音「連絡をマメにとるのが苦手なんです(笑)」
舞台上での雄々しい姿とは一転、インタビューでは優しい笑顔を浮かべながら、穏やかな口調で語りだす…。役者・鈴木拡樹はふんわりとした空気を纏いつつ、どこかミステリアスな雰囲気も感じさせる、そんな独特な美しさを持っている。仕事と恋愛について語る彼から、ちょっぴり“不器用”な一面も浮かび上がってきた。

撮影/後藤倫人 ヘア&メーク/大坪真人
取材・文/渡邉千智(スタジオ・ハードデラックス)

苦手な分野に飛び込んでいくタイプ



――6月4日に30歳のお誕生日を迎えられましたね。

20代後半のときから「もうすぐ30歳だね」と周りの人たちからよく言われていましたけど、30歳になったからって急激に何かが変わったわけでもないですし…。不思議な気持ちです(笑)。

――30歳というと、20代の頃より責任感は重大になってくるような…。

確かに、20代っていう数字がリアルに助けてくれるときもありますよね。30代=「しっかりしている」っていうイメージなので、僕も年齢に追いつけるように、しっかりしなきゃって思います(笑)。

――今回はそんな鈴木さんの歩みを振り返っていければと思います。小さい頃の鈴木さんはどんなお子さんだったのでしょうか?

今とほとんど変わらないかな。ただ、今より会話が苦手でした(笑)。

――今も、会話が苦手な感じはしないですが…?

1対1だとそんなことはないんですけど、大人数でいるときだと会話に参加しそびれることが多々ありまして。

――それは言いたいことを我慢しているわけではなく?

わざと言わないわけでも、我慢しているわけでもないんです。みんなの会話を聞いて、頭の中でいろいろ考えたりしているんですけど、それが言葉に出てなかっただけで。これでも、昔と比べるとだいぶマシになったほうなんですよ(笑)。

――役者のお仕事を始めて変わってきたのでしょうか?

それもありますし、僕の場合、前職の美容師時代にお客さんとお話する機会が多かったので、そこで慣れてきたのかもしれません。



――美容師になろうと思ったキッカケはなんだったんですか?

父に憧れて、ですね。父が美容師でお店をやっていて、母もそのお手伝いをしていたので、小さい頃からずっと美容師の仕事を見てきたんです。だから自然と美容師を目指すようになりました。

――美容師のお仕事って華やかなイメージですが、どうでしたか?

意外と仕事は地味なんですよ。バックヤードではタオルを洗濯したり、液材を調合したり、シャンプーなどの在庫管理をしたり…(笑)。

――でも美容師って接客のイメージが強いので、最初はかなり苦労されたんじゃないですか?

僕、苦手なところにぶつかっていくタイプみたいです(笑)。その後に選んだ役者だって、人前に出る仕事ですしね。自分が苦手とする分野に飛び込んでいっちゃうんですよね(笑)。



「なんとなく」で飛び込んだ芸能界



――美容師を辞めて芸能界に入ろうと思ったキッカケは何だったんでしょう?

それが、なんとなく、なんです。

――芸能の世界に興味があったとか、お芝居がしたかったというわけでもなく?

そういうのもなくて、ただ漠然としていました。父に「やりたい仕事をやれ」ってずっと言われていて、僕としては美容師がやりたい仕事だったんですけど(笑)。じゃあ、他のものを考えてみようかなと思って、東京でアパレルの学校を探していくなかで、芸能人を育てる専門学校を見つけたんです。

――ピンと来たんですか…?

僕のイメージでは、芸能人というのは街中でスカウトされるものだと思っていたので、専門学校ってどういうこと!?って気になって。あと、服のショーとかに興味があったので、モデルコースに入ってみようかなと思って受験したら受かったんです。

――それはスゴいですね!

学校の先生が役者のコースも進めてくれたので、モデルコースと役者のコース、同時に2つの授業を受けていました。やりたいことがハッキリしていたわけではなく、なんとなく受講していたんですけど、卒業後、最初に受けたオーディションに合格して。

――1発目でいきなり合格したんですか!

ありがたいことに…(笑)。そこでお芝居の楽しさを知り、同時に難しさや厳しさも痛感しましたね。

――意識も少しずつ変わっていったんでしょうか?

はい。何もわからないところから今まで一歩一歩焦らずにやってこられたのは、それを見守っていてくれた方がいたからだと思うので、感謝の気持ちでいっぱいです。