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フェイスブックはユーザーに気味の悪い思いをさせたくないと説明。

昨年、フェイスブックは開発者会議「F8」で、ユーザーアカウントのデータを勝手に変更するアプリの対策として開発者向けツールを発表した。フェイスブックを新たに利用するアプリは常に同ツールをサポートし、既存のパートナーは1年の猶予期間で対応することになった。

そして猶予期間も終わりを告げた。 フェイスブックは4月30日にLogin and Graph APIを有効にし、誰しも例外なくこれをサポートすることが必要になった。これは、フェイスブックと連携するすべてのアプリがアクセスできる外部データをユーザーが個々に選択して許可できることを意味する。また、同社はアプリが実行する、フェイスブック内データへの過剰または不要なアクセス要求を防止したいと考えている。

フェイスブックのプロダクト・マネージャーであるサイモン・クロス氏は、和やかな「ホワイトボード」プレス会見で以下のように語っている。「私たちはデベロッパーがユーザー情報をどのように使うのかをユーザーに対して明らかにしてほしいと考えています」。そして「人々がアプリをより良くコントロールして欲しいと思います」と続けている。

素晴らしい考えだ。だが、この変更によってアプリに思わぬエラーやバグ、クラッシュなどが起きる可能性もある。場合によってはアプリそのものが停止することも。

フェイスブックはどのようにデータ要求を制限しようとしているか

古いフェイスブック・ログインと新しいフェイスブック・ログイン

クロス氏によると、フェイスブックは誰もが対応する時間を十分とれるように昨年APIをリリースした。その時点で、今日フェイスブックと連携しているアプリのほとんどがそのアップデートに対応した。

最も明らかな変化は、アップデートされたアプリを起動してFacebook Loginを選択し、認証ページへの新しいリンクを見れば明らかだ。「提供する情報を編集」という項目が確認できるはずだ。リンクをクリックするとユーザーが各オプションに対して同意または拒否を選択できる。もしアプリが誕生日を必要としないならば、そのチェックを外せばよい。もし「いいね」や「友だちリスト」の情報が必要ないならば、それらのオプションを外せばよい(場合によっては、フェイスブックのアプリ設定から、アプリを削除したり、リンクを見るためにモバイルアプリを改めてダウンロードする必要があるかもしれない)。

しかし注意すべきことがある。許可の設定は、すでにアプリが収集したデータには適用されない。もし既に誕生日、住所などのデータへのアクセスを許可していたのであれば、それらを削除するにはアプリのデベロッパーに直接コンタクトするしかない。

フェイスブックはサードパーティー製アプリが不必要な情報を最初に集めてしまうことを防止したいと考えており、新しく「ログイン・レビュー」のプロセスを定めた。基本情報(公開プロファイル、メールアドレス、友だちリストなど)を要求するアプリはこのレビュープロセスを省略できる。しかし、より詳細な情報を求めるアプリはフェイスブックによる手作業の査定を受ける必要がある。このチームはデータの要求にどの程度の合理性があるか、それがアプリの機能に本当に必要かどうかを基準にして査定する。

査定チームは1日か2日を目標にしているが、このプロセスはだいたい3日から5日かかる、とクロス氏はつけ加えた。フェイスブックは、昨年中に40,000件のアプリをレビューしたと彼は推定している。

Graph API version 2.0では保護対策として階層が1つ追加されている。この変更によってアプリユーザーが承認しただけでは、その友だちのデータをアプリが引き出すことは実質的に不可能になる。

これは、ユーザーがニュースフィードへのアクセスを許可するときに効果を発揮する。基本的にニュースフィードには他の人達の投稿と写真が存在する。ユーザーは自身の画像や投稿について以前と同様に外部アプリにアクセスさせることができる。

変化がデベロッパーとエンドユーザーにとって意味するもの

結局、これらの変更点はフェイスブックから「気味の悪い要素」を駆逐するためのものである。例えば、サードパーティー製アプリの投稿が唐突に誰かのタイムラインに投稿したり、友人にコンタクトしたり、友人がシェアしている写真を取得したりすることを防ぐものだ。

「人々はこのような体験を望んでいたというフィードバックを得ています」とクロス氏は言う。彼によればユーザーを安心させることがデベロッパーの収入を増やすことにつながる。しかも説得力を持つものだ。フェイスブックの統計によれば、昨年にこのツールが初公開されて以来、アクセス許可要求は50%減少し、ユーザーによるログインは11%増加したという。

写真の画面では、サードパーティー製アプリによるデータ要求が却下されてる。だが、新しいAPIをサポートしていないアプリは誤動作しがちだったり、クラッシュすることもある

クロス氏は何度もパートナー・アプリの「大多数」はすでに新しいAPIに対応したと語った。しかし彼は具体的な数字を明かそうとしなかったので、どのくらいのアプリが実際に移行したかは不明だ。パートナー製アプリの99.9%が動作するのか、それとも半分くらいは実行に失敗するのか、そこに大きな不確定要素がある。

「私たちは古いシステムを止めるわけではありませんから、アップグレードしないとすべてが壊れてしまうと、というわけではありません」とクロス氏は言う。「アップグレードしていなかった場合にアプリの動作がどうなるかは、システムをどのようにコーディングしたかに大きく依存します。しかし、エラーが起きる可能性はあります」。

起こりうる問題としてはポップアップウィンドウによる警告からアプリのクラッシュ、あるいはもっと悪い事態まで考えられる。フェイスブックに依存している、ある写真共有アプリは、フェイスブックAPIへの対応を保留して撤退する(この例では、フェイスブックの変更に対応した全く新しいバージョンを公開する)。TechCrunchによると、他の複数のアプリは強制的な変更のために完全撤退する計画だ。例えばJob Fusionは友人が働いている場所に基づいて、雇用者からの求人を表示する。サイトによれば、CareerSonar、Jobs With Friends、そして adzuna Connectもまた脱落組に加わるようだ。

人気パートナー製アプリ、たとえばNetflix、Pinterest、Hootsuiteなどは、すでに移行を済ませており、中断することなく動作する。独立系アプリについては、未来ははるかに不確実に見える。

画像提供:Adriana Lee for ReadWrite

Adriana Lee
[原文]