AFP通信などが22日付で、南米のウルグアイ沖で操業する「中国国旗を掲げた漁船」が、雇ったアフリカ人28人に「給料を支払わない」、「虐待する」などの奴隷状態を強いていたと報じたことについて、中国政府・外交部の洪磊報道官は同日の定例記者会見で、「事実が明らかになるまで、中国側はコメントしない」と述べた上で、「法律違反や非人道的行為があった場合には厳しく批判する」と付け加えた。

 中国船で働かされていたのはアフリカ中西部のシエラレオネ、ガーナ人の計28人。それぞれウルグアイ各地の港で働いていたが、約7カ月前に中国の漁船に乗り組んで仕事をすることになったという。

 労働者としての契約をした上で乗り組んだが、給料は支払われず、殴られたり満足に水や食事を与えられない、睡眠を許されないなどの虐待が続いた。乗船後にパスポートは没収された。中国人乗組員は淡水を飲んでいるのに「海水を飲んでいろ」と言われたこともあるという。

 中国漁船がウルグアイの港に寄港した際、アフリカ出身の乗組員が街に出て、たまたま出会った現地在住のアフリカ出身者に窮状を訴えた。詳しくは報じられていないが、一部の人が監視の目を盗んで脱出した可能性がある。

 事態を知った同アフリカ出身者が当局に通報した。現地漁業組合顧問の弁護士は「強制労働事件だ」と指摘。28人のうちにはマラリアや肺結核に感染している人もおり、医療機関で治療を受けることになったという。

 中国政府・外交部が22日に開催した定例記者会見では、「中国漁船のアフリカ人に奴隷労働強制」報道についての質問が出た。

 洪報道官は「関連報道が事実かどうか、調査が必要だ。事実と真相がはっきりするまで、中国側はコメントしない」と述べた上で、「ただし私は強調しておく。いかなる法律違反、非人道的な行為に対しても、われわれは厳しく非難するものである」と付け加えた。

 中国・中華系メディアとしては、香港のアップル・デーリーが同問題を報じた。それ以外にメディアが動く気配は、今のところない。(編集担当:如月隼人)