4日の親善試合で起きた人種差別チャント問題が、ミランMFケヴィン=プリンス・ボアテングをイタリア国外へと遠のけるかもしれない。ドイツ『ビルト』のインタビューで、同選手はブスト・アルシーツィオで起きた問題について語り、自身の去就への影響についても言及した。

「肩をすくめて、それで終わりにできることじゃない。これから3日はそのことを考えて寝ることになる。来週、代理人のロジャー・ヴィットマンと会って、イタリアでプレーを続ける意味があるかどうかを見てみよう」

移籍への扉を開く発言だ。ボアテングはピッチを離れた自身に続いたチームメートたちを「誇り」に思うとも強調した上で、次のように続けている。

「開始から5分で猿をまねた吠える声が聞こえた。最初は何も考えなかったよ。でもそれが繰り返されたから、審判のところにいって、あれが続くなら僕はピッチを去ると言ったんだ。彼は僕を落ち着かせようとした。でも、チャントがまた始まったから、僕は『もう十分だ。もうプレーしない』と思ったんだよ」

「目を閉じるのは簡単だ。行動を起こすのはもっと難しい。でも、チャンピオンズリーグのレアル・マドリー戦だったとしても、僕は同じことをしていただろう。今後もそうする。僕は怒っていたし、悲しかったし、ショックを受けていた」

「2013年にもなってまだこんなことがあるのは恥ずべきだ。イタリアだけじゃなく、世界のサッカー界にとってね。僕は強いシグナルを送りたかった。こういうことがなくなるようにね。僕らは目を開けなければいけない。行き過ぎなものは行き過ぎだ。サッカーに人種差別の場所はない」

一方、マッシミリアーノ・アッレグリ監督は5日の会見で、「もっと教育や礼儀、敬意が必要だ。何かしなければいけない。人種差別だけでなく、スタジアムで起きるべきじゃないことすべてについてね」とコメント。ボアテングについては次のように述べている。

「私は、悔しさからつい出てしまった言葉だったと思う。すべて元通りだと思うよ。ケヴィンは我々にとって重要な選手だ。後半戦で彼が素晴らしい活躍をするように願っている」

なお、ミランは6日のシエナ戦で、試合前のウォームアップの際に反人種差別のスローガンを掲げたTシャツを着る予定となっている。