中国政府・国防部の耿雁生報道官は30日に行った記者会見で、尖閣諸島を巡る日中の対立について、日本が自衛隊を導入した場合には「中国軍は、国家の領土・主権、海洋の権益を維持する力がある」と述べた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

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 中国政府・国防部の耿雁生報道官は30日に行った記者会見で、尖閣諸島を巡る日中の対立について、日本が自衛隊を導入した場合には「中国軍は、国家の領土・主権、海洋の権益を維持する力がある」と述べた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

 「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)に日本の自衛隊が出現したら、中国軍側はどのような措置をとるのか」との質問に答えた。

 耿報道官は、「釣魚島の問題について、改めて強調しておく。釣魚島とその周囲の島嶼(とうしょ)は中国の固有の領土だ。この1点は疑いようがない。日本の一方的な挙動は、この事実を変えることができない」と主張。

 「自衛隊の出動した場合」については「中国軍は、国家の領土・主権、海洋の権益を維持する力がある」と述べ、中国軍は武力による対決を辞さないことを示唆した。

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◆解説◆ 中国軍(中国人民解放軍)の特異な点は、「国家の軍ではなく、共産党の軍」という性格が強い点だ。政府・国防部は軍の運営に不可欠な人事管理や会計業務を行う「軍政」を扱う部署で、軍の作戦行動にかんする「軍政」は中国共産党中央軍事委員会及び人民解放軍総部が担当している。

 一方で、中国政府も中国共産党の「指導」を受ける立場だ。したがって中国では政府が軍をコントロールするのではなく、共産党が軍と政府をコントロールする仕組みだ。実際には、中国共産党のトップである総書記が、国家主席と中央軍事委員会主席を兼任することで、権力の統合を図っている。

 ただし、かつての中国では共産党の高級幹部党員がいずれも、日中戦争や国民党との闘争を通じて「栄光の軍歴」を持っていたが、現在の党指導部は、すでに「軍歴」の経験に乏しい世代になった。そのため、中央軍事委員会主席といっても、いわゆる「制服組」を強力に指導する力は、以前に比べ乏しくなったとされる。(編集担当:如月隼人)