1月11日に始動した京都サンガF.C.は2月7日から鹿児島県入り。18日に帰京するまで5試合の練習試合をおこなった。

今季から指揮を執る大木武監督独自のサッカーがどれだけ浸透しているか。それはJ2をウオッチする者すべてにとって関心事だが、鹿児島キャンプの最後を飾るジュビロ磐田戦で、京都は既に新しい京都らしさを獲得していた。45分×4本のうち、現時点での主力が登場した最初の90分、セカンドハーフにそれは顕著だった。

京都・練習試合
磐田との練習試合に挑む京都【写真:後藤勝】

フォーメーションは3-4-3。ゴールキーパーは水谷雄一。3バックは左から森下俊、アライール、練習生の内野貴志で構成された(余談かもしれないが、内野はJの舞台でもやっていけそうな体の強さを持っていた)。

中盤はダイヤモンドで、底に秋本倫孝、トップ下にチョン ウヨン、左に中山博貴、右に内藤洋平。新加入の選手が三人を占めている。

フォワードは左から宮吉拓実、ディエゴ、ドゥトラ。昨季から見慣れたメンバーだ。アライール、秋本と、大木監督のサッカーを経験している選手が入っていることも見逃せない。

■狭い地域でボールを繋ぐ京都
前半は京都の3バックの横にできるスペースを衝き、ゾーンを拡げようとする磐田のペースだった。もっとも京都にチャンスがないわけではなく、密集(クローズ)の状態で、ワンタッチでパスをつなぎ集団で突破を図るシーンも既に見られた。

後半はキックオフから完全に京都ペース。9分には内野がタテに入れたパスに宮吉が全速力で走りこむが足下に合わず、得点を逃す。このように中盤で完全にボールを支配したのち、最終的に宮吉が飛び出して勝負を図るというリズムで、京都は何度となく磐田ゴールに迫る。

磐田のボールホルダーをマークしていた京都の選手が転んでしまい、突破を許す事態からゴールキーパーが前に出て、最終的にはカバーに入ったディフェンダーの手にボールが当たり、磐田にPKを与えてしまう。このPKをキャンプで絶好調の山崎亮平が22分に決めて磐田が先制するが、これは単純なミス。崩されたものではなかった。

その後はいっそう京都の追撃が激しくなる。44分にディエゴの左からのクロスをヘディングしながら外した宮吉が、アディショナルタイムのラストワンプレーで、中山が左サイドに猛然と駆け込み上げたクロスを、この試合何度目の正直か、ヘッドで押し込んで同点。奇跡的な展開で1-1の「引き分け」に持ち込んだ。手放しで褒める段階ではないが、開幕の二週間前にある程度の形ができていることがわかったのは収穫だろう。

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■著者プロフィール
後藤勝

東京都出身。ゲーム雑誌、サブカル雑誌への執筆を経て、2001年ごろからサッカーを中心に活動。FC東京関連や、昭和期のサッカー関係者へのインタビュー、JFLや地域リーグなど下位ディビジョンの取材に定評がある。著書に「トーキョーワッショイ」(双葉社)がある。


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