映画版が公開されて再び注目を集めている村上春樹の「ノルウェイの森」は、中国でも多くの人気を集めている。中国版ウィキペディアの「百度百科」には、「中国国内の販売部数について正確な統計はないが、300万部以上とも言われている」と書かれている。日本国内でも好き嫌いの分かれるベストセラー作品だが、中国人“ハルキスト”たちの間でもやはり議論になっているようだ。( )内は、編集部の“素朴な感想”。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−●スレ主:レモングラスに味はない  「ノルウェイの森」を読んだんだが、よく意味がわからん。なんであんなに売れてるんだ?−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

●字母D 虚無だから

●スレ主 虚無の青春ってこと?

●24601 ついでに聞きたいんだが、ビートルズは本当に「ノルウェイの森」って歌を歌ってるのか? たしか、作中では飛行場の待合室で歌が流れていたような覚えが…。(→正確には、着陸前の機内で流れるんでしたよね)

●Ghost うむ。確かに歌っているよ。でも村上春樹は下書きを書き終えた時点では「Norweigian Wood」、すなわち「ノルウェイの木材」って意味にさせるはずだった。でも村上春樹はWoodsに含みを持たせようと思って、こういう名前になったらしい。原曲も木の小屋の話だし、森とはあまり関係がないんだ。(→原曲の「Wood」を「森」と意訳したのは、村上春樹ではないらしいが…)

 この作品が読まれている理由はいろいろだろうけど、時代設定の果たした役割は大きいはず。あと、独特な言い回しは翻訳者の功績。修飾語を多用する言い回しについてはいろいろ批判もあるけど、「グレート・ギャッツビー」とか「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を読めば、その意味が分かるはず。村上作品は、あの時代の作品の影響が大きいんだな。村上春樹に文学的価値は大してないが、オレの中では大好きな作家だ。

●スレ主>文学的価値は大してないが、オレの中では大好きな作家 なんか矛盾してないか?

●ラララ オレは「海辺のカフカ」の方が好き。

●Ghost 矛盾? 例えば「臭豆腐」が好きだとしても、それを国賓を迎える晩餐(ばんさん)会で出すわけにはいかんだろ。文学的価値があるのは、フランツ・カフカやドストエフスキーとかだろうな。それに続くのがスコット・フィッツジェラルド、カーソン・マッカラーズ、ミラン・クンデラ。村上春樹はそのさらに後ろ。思想性においても芸術性においても、彼らとはまだまだ距離がある。(→「臭豆腐」は日本でいう「くさや」のようなもの。好き嫌いが分かれる、ということだろうか)

 村上春樹の作品はかなり読んだが、視野が狭いんだよな。スケールが小さい。それでもオレは村上作品が好きだし、林少華の翻訳も気に入っている。エッセイもすがすがしい感じがして悪くない。

●スレ主 なるほどな。オレは日本の作品で言ったら、やはり川端康成の作風が好きだ。村上作品はまだ「ノルウェイの森」をさくっと読んだだけ。(つづく 編集担当:西谷格)



■最新記事
【中国BBS】「ノルウェイの森」の良さがさっぱり分からんのだが(2)
【中国BBS】アジア杯、日本−オーストラリアの勝者は?
【中国BBS】日本が好きな人いる?呼びかけに集まった人びと
【中国BBS】私たちが知っている「日本の懐メロ」とは
中国人学者が分析する「村上春樹の作品が流行する鍵」(1)