書き込み例が載ったコラム

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   ウイルスバスターのセキュリティソフトで知られるトレンドマイクロ社の男性社員が、情報サイトのコラムで、2ちゃんねるの書き込みを改変して「実例」と紹介していた可能性があることが分かった。

「捏造記事で2chを貶めようとしている」

殺害予告に仕立て、注意呼びかける

   書き込み改変が指摘されたのは、2ちゃんねるで2010年12月13日夕に立ったこんなスレッドだった。

   トレンドマイクロ社の男性社員は、IT企業の情報サイト「ASCII.jp」に同日朝載ったコラム「実例に見るコンピュータ犯罪」で、2ちゃんねる上とみられる犯罪予告について紹介した。

   そこでは、書き込み例を挙げており、それによると、あるスレを立てた男性のCさん(35)が、自分を馬鹿にしたDさんの書き込みを見て、「今から殺しにいってやるよゴミが」とスレ上で反論。そして、それを見たDさんが警察に訴え出て、警察がプロバイダの情報提供を元にCさんを特定したうえで、脅迫の疑いで逮捕したという。

   こうした例を元に、男性社員は、「書き込みが証拠となって逮捕に結びつくというケースは非常に多い」として、安易な書き込みに注意を促している。

   ところが、これを「捏造記事」としたスレによると、Dさんが馬鹿にする書き込みをしてから、Cさんが殺害予告をするまではわずか1秒だ。また、書き込みの時間が、未婚女性が高年収男性を望んでいるというニュースのスレにある書き込み時間といずれも一致している。こうしたことから、「恐らくこの書き込みを捏造している」と指摘した。

   捏造指摘のスレ上でも、「1秒レスはどう考えても無理」「よく考えたら今時『タイーホ』なんて言わないよな」などと疑問視する書き込みが相次いでいる。

専門家自らネット上の怖さを体験?

   2ちゃんねるのスレでは、ASCII.jp側に問い合わせをしたとの報告があり、それを受けてか、サイトを運営するアスキー・メディアワークスは2010年12月13日付で、編集部コメントをコラムに付け加えた。

   そこでは、殺害予告の書き込み内容は事実でなく、あくまで事件説明のための「サンプル」だとして、書き込みにそのただし書きを付けた。

   しかし、これでは、「実例に見る」とうたってあるコラムで実例でなかったことになる。このため、2ちゃんでは、「サンプル」とした説明にも、疑問の声が相次いでいる。

   また、コラムでは、Cさんを馬鹿にしたDさんは、匿名であり、プロバイダでなければ、名前や住所などを確認することはできない。このままでは、CさんがDさんを殺すことはできず、2ちゃんでは「誰と時間を含まないと警察動かないだろ」「純粋な例としても間違ってる」との指摘が出ている。

   コラムのタイトルには、「いつの間にか、あなたもネット犯罪者?」とあった。今回、もし改変があったとすれば、犯罪とは言えないが、皮肉なことに、セキュリティソフトの専門家自らがネット上の怖さを体験したことになりそうだ。

   トレンドマイクロ社の広報担当者は、取材に対し、「原稿を書いた経緯の調査を詰めているところで、まだ回答できる準備が整っていません」と話している。

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