人気高まる社内SEへのキャリアチェンジ
事業会社の情報システム部門で働く社内SE。自社システムの導入から運用、社員のITサポート、事業戦 略でのIT活用などを幅広く担当する「社内の知恵袋」だ。IT企業のSEなど顧客にシステムを提供する側から、こうした社内SEを目指すエンジニアが増加 している。その背景と社内SEの魅力に迫った。
Part1:なぜ社内SEが注目されるのか、企業とエンジニアの事情
企業:再構築や拡張が続くシステムの社内担当者が欲しい
社内SEを取り巻く環境は大きく変化しつつある。その一方は企業側のニーズだ。景気回復に伴い多くの企業でシステム投資が盛んになっているが、背 景にはさまざまな要因がある。例えば日本版SOX法への対応、既存システムのバージョンアップ、新たな事業に向けた再構築や拡張、顧客の要求に合わせた サービスの展開、セキュリティの高度化などである。
こうしたシステムの導入はSI企業やITベンダーに依頼するわけだが、社内の要望を彼らに伝え、あるいはリードし、導入後の運用や使い勝手までを視野に 入れて担当するエンジニアが必要となる。社内的にも、新システムを活用する社員のサポート、全社的なITリテラシーの強化、顧客と対応する社員へのレク チャーなどの業務が必須となる。これらの担当者がすなわち社内SEであり、その存在が改めて注目されているのだ。
エンジニア:顧客ではなく自社のシステムを担当したい
エンジニア側の転職意向も社内SEに向いている。リクルートが2007年6月に実 施したITエンジニア約3000人へのアンケート調査によると、転職したい職種(複数回答)の人気1位はWeb・オープン系SE(45%)で、社内SEは 微差の2位(41%)。また、回答者の11.2%を占める社内SEに限れば、実に77%が現職(社内SE)に転職したいと答えている。ITエンジニア全般 からの熱い視線と、経験者の満足度が察せられる。
この動機は大きく2つに分けられるようだ。ひとつは「上昇志向型」で、システム開発の従事者でなく主体者になりたい、将来的にはITを用いた事業戦略に も携わりたいと志望する人たち。もうひとつは「現状改善型」で、次々と続く案件を長時間労働で乗り切るのでなく、福利厚生のしっかりした事業会社でじっく りと技術に取り組みたいと考える人たちだ。どちらも企業側のニーズとマッチしていることは間違いない。
■Part2:ソフト開発職からプライダル業界の社内SEに転職
外注なので当然とはいえ、「むなしいな」と思いました
デザイン系専門学校を卒業した野武氏は流通機器メーカーに入社。当初は機構設計を担当するが、その後はSEとして開発業務に従事する。設計に使うCADを、独学で学んだプログラムでカスタマイズするなどの実績が認められての配属だ。
「前社ではソフト開発も柱となる事業で、製品のラインアップを作り替える時期でしたので、自分から手を挙げました。機構設計に6〜7年携わって新しいことを始めたかったですし、実務経験はなくてもソフト開発にはそれなりの自信はありました」
販売管理のパッケージソフト開発、POSシステムの開発、飲食店向け食材管理システムの構築など、野武氏は順調にキャリアを積んでいく。最大の案件で開発 期間は約2年、メンバーは十数人だったという。ソフト開発自体は面白かったと語るが、マネジャーとして参加した飲食チェーン店向けシステム開発の仕事で、 ある衝撃を受ける。
「親しくお付き合いしていた先方の管理本部長が転属になり、新しい担当者に変わったら、仕事がなくなりました。われわれの業務に落ち度があったので はなく、その方の知り合いの業者に発注先が変わったのです。やりやすいという理由からでしょうが、『むなしいな』と感じました」
以前から感じていた不満もあった。いくら最上のソフトを作ろうと思っても、顧客の機密情報にはタッチできず、与えられる情報は厳密にいえば不完全だ。仕方がないと思っても、「深く突っ込めないもどかしさ」を感じていたという。
このような経緯から野武氏は社内SEに向けて転職活動を開始。リクナビNEXTのキーワード検索で、まさに「社内SE」を入力したという。前社が「地味 な業界」(野武氏)だったこともあり、先端的なブライダルを手掛けるノバレーゼが目に留まる。サービス業への志向ともマッチし、応募・面接の後、2005 年2月に入社となった。
野武さんはスーパーマン!全社員が名前を知っています
当時のノバレーゼは業績が伸張した成長期でもあり、社内のIT化が急務とされていた。一方では、ブライダルという仕事柄で若い女性スタッフが多く、「お客様を幸せにするのが仕事でパソコンなんて二の次」と考える風潮もあったようだ。人材開発部の永江氏は語る。
「野武が入社した当時は100人だったスタッフが、今ではパートやアルバイトを含めて500人ほどです。この間に野武は社員のPCの相談に逐一答え、全社的にグループウェアを導入し、その講習会も開いています。『困ったら野武さん』が社内の合言葉で、役員の名前は知らなくても野武の名前を知らない社員はいないと思います」
野武氏の実績はこれだけに終わらない。彼が自社のシステムやソフトを調べてみたところ、業務管理ソフトがハウスウエディングという事業にはマッチしていないとわかったのだ。当初は既存のパッケージをカスタマイズすることも考えられたが、コストが変わらないことからソフトベンダーとの共同開発に踏み切った。2006年の初夏にスタートし、現在は既存システムから移行中である。
「野武に言わせるとブライダル業界全体でIT化が遅れているとのことですが、弊社のIT化はこの2年で考えられないほど進みました。技術を知らない私たちから見ると、野武はスーパーマンなんです」
社内の協力を得て今後は会社の成長基盤を作る
社内SEに転職して2年半が過ぎた野武氏だが、やりたいことは山ほどあるという。
「入社当時は数店舗だったブライダルの会場やドレスショップが、今は30店舗ほどに増えました。規模に合わせてシステムを拡張し、セキュリティを高め、人材も育て、会社の成長基盤をITでサポートしたいと思っています」
永江氏はそんな野武氏の希望をバックアップするという。
「野武にアシスタントはいますが、エンジニアではありません。早く社内SEを採用して、野武にゆとりをもたせたい。そのゆとりがつくり出すであろう、さらなる現場へのサポートや新システムの導入で、会社はまた強くなります。社内SEに必要なのは職人的な技術力だけでなく、コミュニケーション能力だと、野武を見ていて感じました」
PCに詳しくない女性スタッフの質問に、常に笑顔でわかりやすく説明する。しかも1人対500人だ。これがどれほど難しいことかは、大抵のエンジニアなら想像できるだろう。こうした業務も社内SEの大切な仕事のひとつなのだ。
■Part3 社内SEの求人は増加中だが、業務内容は見極める
事業会社が求めるのはIT企業で経験を積んだSE
実際にIT企業から社内SEに転職しているのは、どのようなエンジニアだろうか。リクルートエージェントの中村氏は、転職経験のあるSI企業在籍のSEを例に挙げる。
「上流工程へのキャリアアップを目指して転職をしたものの、担当するプロジェクトが2次請け案件中心で、希望どおりのキャリアパスが描けないで悩んでいる中堅SE。現職を継続することで年齢とキャリアのバランスに対する将来への不安を感じ、今後は培ってきた業務知識や技術スキルを生かした仕事をしたいと、『最後の転職』を考えているような人です。すると、事業会社での社内SEがおのずとクローズアップされてきます」
この背景にはIT業界の課題も見え隠れしている。短納期での開発案件が多く、十分な人員が割り当てられないため、労働時間も長くなる。ひとつの案件が終わるとすぐに次の仕事にアサインされるという状況で、エンジニアは仕事の達成感が乏しくなり、肉体的にも疲弊するという構図だ。
顧客に最も近い立場でじっくりシステムの上流から下流まで、一気通貫に携わることができ、福利厚生面でも充実した事業会社での仕事が注目されるわけだ。
「社内SEの求人が増えてきたのは2004年くらいからです(グラフ参照)。大手を除けば求人数は1名枠が多く、その枠が埋まれば求人はストップします。それでも全体的に求人増が続いているのは、企業規模や業種によらず、事業会社が社内の基幹系システムの再構築や機能強化のために社内SEを募集しているからなのです(グラフ参照)」
では、どのような人材が求められているのだろうか。基幹系システムの構築経験を通して業務知識を身につけているSE、経営課題解決のためERP導入を手がけてきたコンサルタント、Web系の開発経験豊富な SEやプログラマ、インフラ系SEなどだ。「社内SE」にもいろいろな役割があるので、求人内容や採用背景をしっかりと確認する必要があると、中村氏は語る。
また、大きく年齢で分けると、20代後半までなら技術的なスキルが重視され、30代前半まではリーダー的な経験と業務知識が加味される。30代後半以降になると、上流から下流までの開発経験、企画提案力、顧客折衝力といったビジネス的な経験も求められるようだ。もっとも、自身が開発に携わることはほとんどない。要件定義や基本設計くらいまでを担い、実装はSI企業などに委託する。そのため、2次請けSI企業などのほか、コンサルティングファームからの転職者も増加しているという。
エンドユーザーと接してシステムをつくる
ただ、自社の先頭に立って社内システムの導入や再構築を指揮する仕事が、毎年のようにあるわけではない。社内SEの仕事はかなり幅広く、割合が高いのはシステムやインフラの運用・保守であり、エンドユーザー(社員)へのサポートである。
「ですから、『開発をガンガンやりたい』という人ではなく、ユーザーの声をシステムにつなげることに喜びを感じるSEが向いているでしょう。ユーザーは当面の課題を伝えますから、そこから問題の本質を見抜かなくてはならない。そのためには、要求を待っているだけではなく、自分で社内の現場に足を運んで、ユーザーと信頼関係を築くくらいの姿勢が必要になります。業務知識を生かす、上流から下流まで携わるといった、システム全体の仕事だけではなく、社員のPCトラブルに笑顔で対応するのも社内SEの仕事なのです」
社内SEへの応募者は増加中だ。残業時間が月に20〜30時間という企業が多く、育児休暇などの社内制度が注目されてか、女性SEの希望者も増えているという。企業の情報システムに要求される機能が広がり続ける中、社外からの「IT知恵袋」を求める事業会社の動きはますます活発化しそうだ。
■関連リンク
・SEの仕事を探す
・livedoor キャリア
Part1:なぜ社内SEが注目されるのか、企業とエンジニアの事情
企業:再構築や拡張が続くシステムの社内担当者が欲しい
社内SEを取り巻く環境は大きく変化しつつある。その一方は企業側のニーズだ。景気回復に伴い多くの企業でシステム投資が盛んになっているが、背 景にはさまざまな要因がある。例えば日本版SOX法への対応、既存システムのバージョンアップ、新たな事業に向けた再構築や拡張、顧客の要求に合わせた サービスの展開、セキュリティの高度化などである。
こうしたシステムの導入はSI企業やITベンダーに依頼するわけだが、社内の要望を彼らに伝え、あるいはリードし、導入後の運用や使い勝手までを視野に 入れて担当するエンジニアが必要となる。社内的にも、新システムを活用する社員のサポート、全社的なITリテラシーの強化、顧客と対応する社員へのレク チャーなどの業務が必須となる。これらの担当者がすなわち社内SEであり、その存在が改めて注目されているのだ。
エンジニア側の転職意向も社内SEに向いている。リクルートが2007年6月に実 施したITエンジニア約3000人へのアンケート調査によると、転職したい職種(複数回答)の人気1位はWeb・オープン系SE(45%)で、社内SEは 微差の2位(41%)。また、回答者の11.2%を占める社内SEに限れば、実に77%が現職(社内SE)に転職したいと答えている。ITエンジニア全般 からの熱い視線と、経験者の満足度が察せられる。
この動機は大きく2つに分けられるようだ。ひとつは「上昇志向型」で、システム開発の従事者でなく主体者になりたい、将来的にはITを用いた事業戦略に も携わりたいと志望する人たち。もうひとつは「現状改善型」で、次々と続く案件を長時間労働で乗り切るのでなく、福利厚生のしっかりした事業会社でじっく りと技術に取り組みたいと考える人たちだ。どちらも企業側のニーズとマッチしていることは間違いない。
■Part2:ソフト開発職からプライダル業界の社内SEに転職
外注なので当然とはいえ、「むなしいな」と思いました
デザイン系専門学校を卒業した野武氏は流通機器メーカーに入社。当初は機構設計を担当するが、その後はSEとして開発業務に従事する。設計に使うCADを、独学で学んだプログラムでカスタマイズするなどの実績が認められての配属だ。
「前社ではソフト開発も柱となる事業で、製品のラインアップを作り替える時期でしたので、自分から手を挙げました。機構設計に6〜7年携わって新しいことを始めたかったですし、実務経験はなくてもソフト開発にはそれなりの自信はありました」
販売管理のパッケージソフト開発、POSシステムの開発、飲食店向け食材管理システムの構築など、野武氏は順調にキャリアを積んでいく。最大の案件で開発 期間は約2年、メンバーは十数人だったという。ソフト開発自体は面白かったと語るが、マネジャーとして参加した飲食チェーン店向けシステム開発の仕事で、 ある衝撃を受ける。
「親しくお付き合いしていた先方の管理本部長が転属になり、新しい担当者に変わったら、仕事がなくなりました。われわれの業務に落ち度があったので はなく、その方の知り合いの業者に発注先が変わったのです。やりやすいという理由からでしょうが、『むなしいな』と感じました」
以前から感じていた不満もあった。いくら最上のソフトを作ろうと思っても、顧客の機密情報にはタッチできず、与えられる情報は厳密にいえば不完全だ。仕方がないと思っても、「深く突っ込めないもどかしさ」を感じていたという。
このような経緯から野武氏は社内SEに向けて転職活動を開始。リクナビNEXTのキーワード検索で、まさに「社内SE」を入力したという。前社が「地味 な業界」(野武氏)だったこともあり、先端的なブライダルを手掛けるノバレーゼが目に留まる。サービス業への志向ともマッチし、応募・面接の後、2005 年2月に入社となった。
野武さんはスーパーマン!全社員が名前を知っています
当時のノバレーゼは業績が伸張した成長期でもあり、社内のIT化が急務とされていた。一方では、ブライダルという仕事柄で若い女性スタッフが多く、「お客様を幸せにするのが仕事でパソコンなんて二の次」と考える風潮もあったようだ。人材開発部の永江氏は語る。
「野武が入社した当時は100人だったスタッフが、今ではパートやアルバイトを含めて500人ほどです。この間に野武は社員のPCの相談に逐一答え、全社的にグループウェアを導入し、その講習会も開いています。『困ったら野武さん』が社内の合言葉で、役員の名前は知らなくても野武の名前を知らない社員はいないと思います」
野武氏の実績はこれだけに終わらない。彼が自社のシステムやソフトを調べてみたところ、業務管理ソフトがハウスウエディングという事業にはマッチしていないとわかったのだ。当初は既存のパッケージをカスタマイズすることも考えられたが、コストが変わらないことからソフトベンダーとの共同開発に踏み切った。2006年の初夏にスタートし、現在は既存システムから移行中である。
「野武に言わせるとブライダル業界全体でIT化が遅れているとのことですが、弊社のIT化はこの2年で考えられないほど進みました。技術を知らない私たちから見ると、野武はスーパーマンなんです」
社内の協力を得て今後は会社の成長基盤を作る
社内SEに転職して2年半が過ぎた野武氏だが、やりたいことは山ほどあるという。
「入社当時は数店舗だったブライダルの会場やドレスショップが、今は30店舗ほどに増えました。規模に合わせてシステムを拡張し、セキュリティを高め、人材も育て、会社の成長基盤をITでサポートしたいと思っています」
永江氏はそんな野武氏の希望をバックアップするという。
「野武にアシスタントはいますが、エンジニアではありません。早く社内SEを採用して、野武にゆとりをもたせたい。そのゆとりがつくり出すであろう、さらなる現場へのサポートや新システムの導入で、会社はまた強くなります。社内SEに必要なのは職人的な技術力だけでなく、コミュニケーション能力だと、野武を見ていて感じました」
PCに詳しくない女性スタッフの質問に、常に笑顔でわかりやすく説明する。しかも1人対500人だ。これがどれほど難しいことかは、大抵のエンジニアなら想像できるだろう。こうした業務も社内SEの大切な仕事のひとつなのだ。
■Part3 社内SEの求人は増加中だが、業務内容は見極める
事業会社が求めるのはIT企業で経験を積んだSE
実際にIT企業から社内SEに転職しているのは、どのようなエンジニアだろうか。リクルートエージェントの中村氏は、転職経験のあるSI企業在籍のSEを例に挙げる。
「上流工程へのキャリアアップを目指して転職をしたものの、担当するプロジェクトが2次請け案件中心で、希望どおりのキャリアパスが描けないで悩んでいる中堅SE。現職を継続することで年齢とキャリアのバランスに対する将来への不安を感じ、今後は培ってきた業務知識や技術スキルを生かした仕事をしたいと、『最後の転職』を考えているような人です。すると、事業会社での社内SEがおのずとクローズアップされてきます」
この背景にはIT業界の課題も見え隠れしている。短納期での開発案件が多く、十分な人員が割り当てられないため、労働時間も長くなる。ひとつの案件が終わるとすぐに次の仕事にアサインされるという状況で、エンジニアは仕事の達成感が乏しくなり、肉体的にも疲弊するという構図だ。
顧客に最も近い立場でじっくりシステムの上流から下流まで、一気通貫に携わることができ、福利厚生面でも充実した事業会社での仕事が注目されるわけだ。
「社内SEの求人が増えてきたのは2004年くらいからです(グラフ参照)。大手を除けば求人数は1名枠が多く、その枠が埋まれば求人はストップします。それでも全体的に求人増が続いているのは、企業規模や業種によらず、事業会社が社内の基幹系システムの再構築や機能強化のために社内SEを募集しているからなのです(グラフ参照)」
では、どのような人材が求められているのだろうか。基幹系システムの構築経験を通して業務知識を身につけているSE、経営課題解決のためERP導入を手がけてきたコンサルタント、Web系の開発経験豊富な SEやプログラマ、インフラ系SEなどだ。「社内SE」にもいろいろな役割があるので、求人内容や採用背景をしっかりと確認する必要があると、中村氏は語る。
また、大きく年齢で分けると、20代後半までなら技術的なスキルが重視され、30代前半まではリーダー的な経験と業務知識が加味される。30代後半以降になると、上流から下流までの開発経験、企画提案力、顧客折衝力といったビジネス的な経験も求められるようだ。もっとも、自身が開発に携わることはほとんどない。要件定義や基本設計くらいまでを担い、実装はSI企業などに委託する。そのため、2次請けSI企業などのほか、コンサルティングファームからの転職者も増加しているという。
エンドユーザーと接してシステムをつくる
ただ、自社の先頭に立って社内システムの導入や再構築を指揮する仕事が、毎年のようにあるわけではない。社内SEの仕事はかなり幅広く、割合が高いのはシステムやインフラの運用・保守であり、エンドユーザー(社員)へのサポートである。
「ですから、『開発をガンガンやりたい』という人ではなく、ユーザーの声をシステムにつなげることに喜びを感じるSEが向いているでしょう。ユーザーは当面の課題を伝えますから、そこから問題の本質を見抜かなくてはならない。そのためには、要求を待っているだけではなく、自分で社内の現場に足を運んで、ユーザーと信頼関係を築くくらいの姿勢が必要になります。業務知識を生かす、上流から下流まで携わるといった、システム全体の仕事だけではなく、社員のPCトラブルに笑顔で対応するのも社内SEの仕事なのです」
社内SEへの応募者は増加中だ。残業時間が月に20〜30時間という企業が多く、育児休暇などの社内制度が注目されてか、女性SEの希望者も増えているという。企業の情報システムに要求される機能が広がり続ける中、社外からの「IT知恵袋」を求める事業会社の動きはますます活発化しそうだ。
■関連リンク
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