【木南広明コラム】日本サッカー協会への企画書
「サッカーが好きだ!」今の時代、こう胸を張って言える大人はどれだけいるのだろうか?
Jリーグが発足した当時、国民すべてがサッカーに熱狂し、テレビの前に釘付けになった。いわばサッカーはスポーツを越えたひとつのエンターテイメントだったのである。しかし、今はどうだ?
W杯予選や五輪など、国際的な大会では一時的に盛り上がるものの、持続しない代表人気。その裏には「スター不在」など日本サッカー界が抱える問題が複雑に絡んでいる。実際、サッカー中継の視聴率は低下している。反面、Jリーグの観客が増えているなど嬉しい事実もあるのだが、サッカー熱という点では昔に比べ冷めてきているのではないだろうか。
このページでは、そんなちょっぴり元気のなくなった日本サッカー界に、放送作家という、サッカーとはまったく関係のない立場から小さな提言をしていければと思う。なぜなら私はサッカーが好きだから。そして普段、番組企画などでアイデアを出す中で培った、社会生活ではまったく使えないノウハウがあるので、まったく違った角度からサッカーにアプローチできるのではと思ったからである。
これでサッカーを盛り上げようなんてさらさら思っていない。ただ誰かに、何かが響けばと願う殴り書き、いや殴られ書きとして読んでもらえればと思う。これは、日本サッカー協会あてのちょっとした企画書である。
企画書 サッカー中継に関するご提案
なかなかスタジアムに足を運べないサッカーファンにとってテレビ中継はひとつの生命線。試合全体が把握できるのはもちろん、どんな中継かによって試合そのもののおもしろさまで変わってくる。そこで中継に関するちょっとしたご提案を。
まずは、より臨場感を味わうために必要な「視点」。ピッチ全体が見えるのは当然なのだが、さらにピッチ上の視点を入れるのはどうか? 例えば主審や線審に目線のカメラをつけておく。すると選手と同じ視点で、まるで自分が試合をしているかのような臨場感が味わえるはずである。
以前、格闘技中継でそのような手法が使われていたが、見たことのないアングルからKOの瞬間が楽しめ、リング上の熱気がひしひしと伝わってきた。ぜひサッカーにも取り入れてほしい。
また、度々騒がれる審判の判定問題についても、審判の目線カメラによって「見えていたのか? 見えていなかったのか? 」明確な答えを見せることができ、観ている人のストレスを緩和できるかもしれない。
さらに、万が一だが選手につけることができれば、スルーパスを出す司令塔の目線などが楽しめ、サッカー少年など実際にプレイする人にとってすごく勉強になりそうだ。
続いてサッカー中継には欠かせない「選手紹介」。だいたい紹介に含まれている情報は、年齢やゴール数、出身チームなどだが、これだけでなくさらにパーソナルな情報を増やせばより選手に感情移入ができて応援したくなるのではないか?
例えばニックネーム。これは「ヒデ」など名前からくるニックネームもあれば、「やきそば」など好きな食べ物からくるニックネームまで様々。「やきそばがんばれ!」「やきそばゴール!」「やきそばの守りは固い。かたやきそば!」など、一見コミカルだが、少し笑えるぐらいが丁度いい。
さらには好きな女性のタイプ。ベテランがいわゆるロリコンのアイドル好きだったり、若手のホープが熟女好きだったり……。「やはりキーパーのアイツは、西川史子みたいな人に責められる(攻められる)のが好きなんだなぁ」なんてくだらないことまで想像してしまう。
他にも「点を決めたときの公約」や「意気込み」、さらには「宝物」「好きな音楽」など細かくプロフィールが紹介されていたら興味深い。もしかしたらこのプロフィールによって新たなファンを獲得できるかもしれない。
そして中継に欠かせないのは「解説員」。最近では、サッカー好きのお笑い芸人を起用することも多いので、サッカーに興味が薄い人へも効果的なアプローチができていると思う。そこでさらに一歩踏み出し、まったくサッカーを知らないキャストを解説員として招くのはどうか?
ターゲットはサッカーを知らない視聴者。もちろん副音声などサッカー通に影響を与えない手法で行うのだが、やはりサッカーを知らないだけあって「ワールドカップって何ですか?」「オフサイドって何ですか?」「あの長袖の人、手を使ったわよ? いいの?」などなど、一から事細かに説明しなくてはいけないのでサッカーに疎い方にとっては格好の勉強に。
言わばサッカーの裾野を広げる点で効果的な、解説させるという意味での「解説員」なのである。
また副音声に「スタンドの音」だけを流しておくのも、スタジアムの熱気を伝え、会場にいるかのような楽しみ方をするには効果的ではないか。テレビでその臨場感を味わうことで、実際にスタジアムに足を運びたくなる人もいるだろう。
以上、「視点」「選手紹介」「解説員」のサッカー中継に関する3点をご提案。あくまで主観ではあるが、こんな中継があったらぜひとも見てみたい。「映す」から「伝える」への変換。皆さんは中継に関して、どんな意見があるだろうか?
「もっとこうしたらいいのに……」「自分だったらこんな中継を提案する」などアイデアがあったら教えて頂きたい。あくまでこの企画書は、サッカーファン全員で作成するものだから。(了)
・【杉山茂樹コラム】オシムかジーコの再登板、その可能性は?
・【加部究コラム】独自性の見えない岡田監督
・【杉山茂樹コラム】川崎のサッカーは“守備的”サッカー
・【石井紘人コラム】判定問題の根本は理解度の低さ
・【加部究コラム】中庸の岡田
Jリーグが発足した当時、国民すべてがサッカーに熱狂し、テレビの前に釘付けになった。いわばサッカーはスポーツを越えたひとつのエンターテイメントだったのである。しかし、今はどうだ?
W杯予選や五輪など、国際的な大会では一時的に盛り上がるものの、持続しない代表人気。その裏には「スター不在」など日本サッカー界が抱える問題が複雑に絡んでいる。実際、サッカー中継の視聴率は低下している。反面、Jリーグの観客が増えているなど嬉しい事実もあるのだが、サッカー熱という点では昔に比べ冷めてきているのではないだろうか。
このページでは、そんなちょっぴり元気のなくなった日本サッカー界に、放送作家という、サッカーとはまったく関係のない立場から小さな提言をしていければと思う。なぜなら私はサッカーが好きだから。そして普段、番組企画などでアイデアを出す中で培った、社会生活ではまったく使えないノウハウがあるので、まったく違った角度からサッカーにアプローチできるのではと思ったからである。
企画書 サッカー中継に関するご提案
なかなかスタジアムに足を運べないサッカーファンにとってテレビ中継はひとつの生命線。試合全体が把握できるのはもちろん、どんな中継かによって試合そのもののおもしろさまで変わってくる。そこで中継に関するちょっとしたご提案を。
まずは、より臨場感を味わうために必要な「視点」。ピッチ全体が見えるのは当然なのだが、さらにピッチ上の視点を入れるのはどうか? 例えば主審や線審に目線のカメラをつけておく。すると選手と同じ視点で、まるで自分が試合をしているかのような臨場感が味わえるはずである。
以前、格闘技中継でそのような手法が使われていたが、見たことのないアングルからKOの瞬間が楽しめ、リング上の熱気がひしひしと伝わってきた。ぜひサッカーにも取り入れてほしい。
また、度々騒がれる審判の判定問題についても、審判の目線カメラによって「見えていたのか? 見えていなかったのか? 」明確な答えを見せることができ、観ている人のストレスを緩和できるかもしれない。
さらに、万が一だが選手につけることができれば、スルーパスを出す司令塔の目線などが楽しめ、サッカー少年など実際にプレイする人にとってすごく勉強になりそうだ。
続いてサッカー中継には欠かせない「選手紹介」。だいたい紹介に含まれている情報は、年齢やゴール数、出身チームなどだが、これだけでなくさらにパーソナルな情報を増やせばより選手に感情移入ができて応援したくなるのではないか?
例えばニックネーム。これは「ヒデ」など名前からくるニックネームもあれば、「やきそば」など好きな食べ物からくるニックネームまで様々。「やきそばがんばれ!」「やきそばゴール!」「やきそばの守りは固い。かたやきそば!」など、一見コミカルだが、少し笑えるぐらいが丁度いい。
さらには好きな女性のタイプ。ベテランがいわゆるロリコンのアイドル好きだったり、若手のホープが熟女好きだったり……。「やはりキーパーのアイツは、西川史子みたいな人に責められる(攻められる)のが好きなんだなぁ」なんてくだらないことまで想像してしまう。
他にも「点を決めたときの公約」や「意気込み」、さらには「宝物」「好きな音楽」など細かくプロフィールが紹介されていたら興味深い。もしかしたらこのプロフィールによって新たなファンを獲得できるかもしれない。
そして中継に欠かせないのは「解説員」。最近では、サッカー好きのお笑い芸人を起用することも多いので、サッカーに興味が薄い人へも効果的なアプローチができていると思う。そこでさらに一歩踏み出し、まったくサッカーを知らないキャストを解説員として招くのはどうか?
ターゲットはサッカーを知らない視聴者。もちろん副音声などサッカー通に影響を与えない手法で行うのだが、やはりサッカーを知らないだけあって「ワールドカップって何ですか?」「オフサイドって何ですか?」「あの長袖の人、手を使ったわよ? いいの?」などなど、一から事細かに説明しなくてはいけないのでサッカーに疎い方にとっては格好の勉強に。
言わばサッカーの裾野を広げる点で効果的な、解説させるという意味での「解説員」なのである。
また副音声に「スタンドの音」だけを流しておくのも、スタジアムの熱気を伝え、会場にいるかのような楽しみ方をするには効果的ではないか。テレビでその臨場感を味わうことで、実際にスタジアムに足を運びたくなる人もいるだろう。
以上、「視点」「選手紹介」「解説員」のサッカー中継に関する3点をご提案。あくまで主観ではあるが、こんな中継があったらぜひとも見てみたい。「映す」から「伝える」への変換。皆さんは中継に関して、どんな意見があるだろうか?
「もっとこうしたらいいのに……」「自分だったらこんな中継を提案する」などアイデアがあったら教えて頂きたい。あくまでこの企画書は、サッカーファン全員で作成するものだから。(了)
木南広明
新潟県出身。バラエティ番組を中心に放送作家として活動するほか、「excite」「woman excite」などの記事を執筆。高校時代はサッカー部で、インターハイと選手権を経験するも、現在ではただのサッカー好きとして日々テレビ観戦中。
・【加部究コラム】五輪オーバーエイジ枠に待った新潟県出身。バラエティ番組を中心に放送作家として活動するほか、「excite」「woman excite」などの記事を執筆。高校時代はサッカー部で、インターハイと選手権を経験するも、現在ではただのサッカー好きとして日々テレビ観戦中。
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