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【杉山茂樹コラム】オシムかジーコの再登板、その可能性は?

2008年04月08日16時58分 / 提供:FOOTBALL WEEKLY

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 ジーコのフェネルバフチェが、この原稿を書いている段階でまだ「生き残っている」。CL準々決勝対チェルシー戦のファーストレグを、2−1のスコアで折り返し、可能性を残しながら第2戦を迎えようとしている。
 日本代表監督時代のジーコに、何かとケチをつけてきた僕としては、それはそれ、これはこれとばかり、ここは素直に賞賛の拍手を送りたい。

 なにを隠そう、僕はCLの決勝トーナメント1回戦が終了した段階でも、これとまったく同じ話をある雑誌で書いている。「この原稿は、準々決勝を前に書いているのだが」と、断りを入れながら「それはそれ、これはこれ」とジーコを賞賛している。
 さらに僕はそこで、「ジーコに日本代表監督をもう一度任せてみては……。僕がサッカー協会の会長サンなら、多少の出費は覚悟の上でジーコ獲得に動くだろう」とも記している。
 その雑誌はいま印刷製本の過程にあり、本屋の店頭に並んでいないので、もし僕がここで内輪話を書かなければ、世の中に僕の意見は、依然として伝わっていないことになるのだが、なぜ今ここで、そんなことをグチグチ言っているのかといえば、そのタイムラグのおかげで、いささか悔しい思いをしているからだ。
「それを言ったのは、僕の方が先なんだから」とアピールしたい、衝動に駆られているからである。

 準々決勝の1回戦の後に出た某夕刊スポーツ紙を見て、僕は愕然とした。「ジーコ日本代表監督復帰! 川淵氏も名采配を評価!」と、その一面を大きく飾っていたからだ。川淵サンが、僕の原稿を読んで、それに従ったのなら痛快だが、悔しいかな現実的にそれはあり得ない。
 この世の中は、先に言ったモン勝ちなのである。事情を知らずに僕の原稿読んだ人には、新鮮な意見だとは思われない。

 もっとも僕は、そこで「来季もジーコがCLで同様な活躍をしたならば」と、条件をつけている。「1シーズンの活躍だけでは、フロックの可能性もあるので」と、慎重な姿勢も崩していない。
 なんとか岡田サンに、アジア予選を乗り切ってもらって、ジーコにW杯本大会を任せる。日本を知っているジーコならば、そして2シーズン続けて・日常のW杯・と言われるCLで活躍した実績があれば、1年あれば十分だろうとの、思いがあったからだ。

 ところが、その原稿を書いたこれまた直後、岡田ジャパンは、バーレーンとのアウェイ戦に敗れてしまった。実質5枠から(5枠目をオセアニア代表と争うプレイオフに日本が負ける可能性はかなり低いと思われるので)、はみ出しても不思議はないほどの、まさに想定外のひどい内容で。
 ジーコの再登板を願う声は、ますます膨らみそうなムードだが、これでむしろジーコの線は難しくなったと僕は感じている。

 フェネルバフチェが、今季大成功を収めた監督を来季、簡単に手放すはずがない。ジーコにも、川淵サンからいくら頭を下げられても、フェネルバフチェを離れるつもりはサラサラないだろう。可能性があるとすれば、その翌シーズンになる。2010年までの1年間限定の場合だ。
 欧州でそれなりに実績を残した監督には、2年間もそこを離れる勇気は湧かないものだ。遠い世界で2年も暮らすことになれば、忘れられた存在になる。例えば、日本代表の監督として、W杯本番でよほどの成績を残さない限り、欧州のトップクラブには、舞い戻れないだろう。

 ヒディンクが、韓国代表監督に就任したのは、2002年W杯まで1年半という時期だった。これが限界のライン。ヒディンクが豪州監督に就任したのも、南米予選第5位のウルグアイと争ったプレイオフからだった。
 岡田サンでは危ない。さりとて欧州の一流監督を近々、招聘することもできない。W杯本番まであと2年強。1人の監督に4年間、丸投げすることで乗り切った02年、06年とは異なる状況と、今後どう向き合っていくか。先発のオシムが早々に病に倒れ、急遽リリーフに出た岡田サンも、いきなり大きな一発を浴びせられた。野球なら3番手をブルペンに走らせるのが定石だ。

 ところが、川淵サンの口から出てきたのはジーコだった。せいぜい8回、9回ぐらいしか任すことができない「欧州の大物」である。試合はまだ4回ぐらいまでした進んでいないというのにだ。日本の継投策は吉と出るか、凶と出るか。なにせ実質5枠あるので、岡田投手がもう2、3発打ち込まれても、ギリギリセーフな状況だ。しかしそれ以上、打ち込まれた場合は地獄に堕ちる。
 現状では、オシムに再登板をお願いするのがもっとも良い選択しかも知れない(氏の回復次第だが)。岡田サンはコーチに収まり、アウェイ戦のみ代理監督としてベンチに座る。もちろんオシムの指示に従う形でだ。
 
 とはいえこの「オシム総監督案」は、僕にはあまりおもしろく映らない。なぜならば、すでに巷にはそうした声が渦巻いているからだ。僕のオリジナルな意見ではないからである。
 先日のアンゴラ戦でも、国立競技場の喫煙所で煙草を吸っていたら、傍らにいたファンが仲間と「オシム総監督案」を語り合っていた。一般のファンでさえ、当たり前のように思っている話を、いまさら僕が、ここで声を大にするわけにもいかない。
 
 それにしても控え候補の少なさは目に余る。僕は岡田サンの現状より、そちらの方がもっと心配になる。岡田サンの「投球」に、思い切り文句をつけられる指導者こそ、有力候補だと僕は思うが、そうした視点に立っても、思い浮かぶのは例の人物しか見当たらない。オシムがいつ堪忍袋の緒を切らすか。一刻も早くキレてくれることを僕は切に願っている。(了)

杉山茂樹
1959年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、サッカーを中心とするスポーツのフリーライターとして多数の雑誌に寄稿するほか、サッカー解説者としても活躍。1年の半分以上をヨーロッパなどの海外で過ごし、精力的に取材を続けている。著書には、『史上最大サッカーランキング』 (廣済堂刊)『ワールドカップが夢だった』(ダイヤモンド社)など多数。
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ジーコ  サッカー  オシム  杉山茂樹  岡田ジャパン  

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