【杉山茂樹コラム】川崎のサッカーは“守備的”サッカー
2008年03月14日11時37分 / 提供:FOOTBALL WEEKLY
3トップの布陣で、超攻撃的サッカーを繰り広げる川崎フロンターレの猛攻を凌いだ東京ヴェルディが、後半のロスタイムにPKを得て同点とし、試合は結局、引き分けに終わった──
Jリーグ開幕節の川崎フロンターレ対東京ヴェルディ戦を、各局のスポーツニュースは、概ねこんな調子で伝えた。
川崎フロンターレの布陣は、鄭大世、フッキ、ジュニーニョを前線に並べる3−4−3。それをスポーツニュースは「超攻撃的」と称したわけだが、それははたして、適切な表現と言えるだろうか。
「3−4−3」は、いくつかある3バックの中で、最も攻撃的だと言われる。世界ではそういう解釈になっている。攻撃サッカーの国、オランダの伝統的な布陣でもあるし、2002年W杯でヒディンク・コリアが用いたことでも知られている。
さらに言えば、岡田ジャパンの初戦で戦ったビエルサ率いるチリ代表、同じくビエルサが率いた06年アテネ五輪の優勝チーム、アルゼンチン、そしてガーナと横浜で対戦したオシムジャパンも、この「3−4−3」で戦っている。
しかし、川崎フロンターレの3−4−3は数列表記は同じでも、それらとは選手のポジショニングが微妙に違う。3FWが中央に固まる傾向が強いのだ。3FWが、68mあるピッチ幅に、横隊で構えるその他との違いは、ピッチを実際に俯瞰で眺めれば、鮮明に浮かび上がる。3FWが1トップの同義語として用いられる常識が、川崎フロンターレにはあてはまらないのだ。
オシムはこちらのインタビューに対してこう言った。
「ガーナのような強いチームと戦う場合は、相手のサイドバックの攻撃参加を止めることが重要になる。ガーナ戦で、両ウイングに山岸と佐藤寿を置いた理由だ。そのためにガーナは、両サイドバックが上がれず、守備的なサッカーに陥った」
日本はこのガーナ戦に0−1で敗れたものの、攻撃的なサッカーを披露した試合として印象に残る。オシムもその点については胸を張った。3−4−3の布陣のメリットが、存分に活かされた試合と言っていい。
3FW=1トップの布陣には、相手のサイドバックを高い位置でブロックする意味がある。「できるだけ高い位置でボールを奪い、相手の守備体系が整わぬ間に攻めきる」プレッシングフットボールは、自ずと実行しやすくなる。
プレッシングフットボールが、攻撃サッカーを実践する上で、不可欠な戦術であることは言うまでもない。高い位置で相手ボールを奪う行為は、攻撃サッカーの原点になる。守備の戦術なのだから、守備的サッカーを象徴する戦術だとする声は、攻守がハッキリ分かれている野球的な発想だと言わざるを得ない。
しかし、3FWが中央に固まった場合は例外になる。相手のサイドバックは、常に攻撃参加しやすい状態にある。よって、彼らの攻め上がりは、3−「4」−3の「4」の両サイドが対応することになる。だが相手がサイドに2人置いていれば、「4」の両サイドの位置は、重圧に押されて定位置より低くなる。5バックに陥りかねない状態になる。
川崎フロンターレがまさにそうだった。「4」の両サイドを担当した森勇介と山岸智の位置取りは、時間の経過とともに低くなり、5バックに近い状態に陥った。後ろに人が多くなったわけだ。つまりチームとして、前ではなく、後ろで守るサッカーになった。非プレッシングサッカーになったわけだ。
言い換えれば、カウンターサッカーだ。個人能力が高い3人のFWにボールが渡れば、川崎フロンターレにビッグチャンスは到来した。攻撃力満点のサッカーに見えたが、それはあくまでも選手の個人能力やキャラの問題であって、チームとしてのスタイルを指す攻撃的サッカーとは言い難い。「後ろで守ってカウンター」は、攻撃サッカーの範疇からは外れたスタイルになる。
Jリーグ開幕節の川崎フロンターレ対東京ヴェルディ戦を、各局のスポーツニュースは、概ねこんな調子で伝えた。
川崎フロンターレの布陣は、鄭大世、フッキ、ジュニーニョを前線に並べる3−4−3。それをスポーツニュースは「超攻撃的」と称したわけだが、それははたして、適切な表現と言えるだろうか。
「3−4−3」は、いくつかある3バックの中で、最も攻撃的だと言われる。世界ではそういう解釈になっている。攻撃サッカーの国、オランダの伝統的な布陣でもあるし、2002年W杯でヒディンク・コリアが用いたことでも知られている。
さらに言えば、岡田ジャパンの初戦で戦ったビエルサ率いるチリ代表、同じくビエルサが率いた06年アテネ五輪の優勝チーム、アルゼンチン、そしてガーナと横浜で対戦したオシムジャパンも、この「3−4−3」で戦っている。
しかし、川崎フロンターレの3−4−3は数列表記は同じでも、それらとは選手のポジショニングが微妙に違う。3FWが中央に固まる傾向が強いのだ。3FWが、68mあるピッチ幅に、横隊で構えるその他との違いは、ピッチを実際に俯瞰で眺めれば、鮮明に浮かび上がる。3FWが1トップの同義語として用いられる常識が、川崎フロンターレにはあてはまらないのだ。
オシムはこちらのインタビューに対してこう言った。
「ガーナのような強いチームと戦う場合は、相手のサイドバックの攻撃参加を止めることが重要になる。ガーナ戦で、両ウイングに山岸と佐藤寿を置いた理由だ。そのためにガーナは、両サイドバックが上がれず、守備的なサッカーに陥った」
日本はこのガーナ戦に0−1で敗れたものの、攻撃的なサッカーを披露した試合として印象に残る。オシムもその点については胸を張った。3−4−3の布陣のメリットが、存分に活かされた試合と言っていい。
3FW=1トップの布陣には、相手のサイドバックを高い位置でブロックする意味がある。「できるだけ高い位置でボールを奪い、相手の守備体系が整わぬ間に攻めきる」プレッシングフットボールは、自ずと実行しやすくなる。
プレッシングフットボールが、攻撃サッカーを実践する上で、不可欠な戦術であることは言うまでもない。高い位置で相手ボールを奪う行為は、攻撃サッカーの原点になる。守備の戦術なのだから、守備的サッカーを象徴する戦術だとする声は、攻守がハッキリ分かれている野球的な発想だと言わざるを得ない。
しかし、3FWが中央に固まった場合は例外になる。相手のサイドバックは、常に攻撃参加しやすい状態にある。よって、彼らの攻め上がりは、3−「4」−3の「4」の両サイドが対応することになる。だが相手がサイドに2人置いていれば、「4」の両サイドの位置は、重圧に押されて定位置より低くなる。5バックに陥りかねない状態になる。
川崎フロンターレがまさにそうだった。「4」の両サイドを担当した森勇介と山岸智の位置取りは、時間の経過とともに低くなり、5バックに近い状態に陥った。後ろに人が多くなったわけだ。つまりチームとして、前ではなく、後ろで守るサッカーになった。非プレッシングサッカーになったわけだ。
言い換えれば、カウンターサッカーだ。個人能力が高い3人のFWにボールが渡れば、川崎フロンターレにビッグチャンスは到来した。攻撃力満点のサッカーに見えたが、それはあくまでも選手の個人能力やキャラの問題であって、チームとしてのスタイルを指す攻撃的サッカーとは言い難い。「後ろで守ってカウンター」は、攻撃サッカーの範疇からは外れたスタイルになる。
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