低所得の若者の増加が結婚の減少につながり、少子化を促進する主因になっていることが、厚生労働省が8日まとめた2006年版「労働経済の分析」(労働経済白書)で分かった。白書では人件費抑制を目的に、若者の非正規雇用が増えていることについて「長期的・継続的な視点を欠く」と強く批判した。

 白書によると、34歳以下の男性の場合、最新調査(02年)では、正規労働者で結婚している人は39.9%だったのに対し、非正規労働者では13.5%。パート・アルバイトに限ると7.7%まで低下する。

 非正規雇用は拡大しており、1996年の1043万人から、2005年には1591万人に増加。一方で、正規雇用は96年の3800万人から3333万人に減少しており、非正社員は5人に1人から、3人に1人の割合になった。特に、週の就業時間が35時間以上のフルタイムの労働者とほとんど変わらない働き方をする非正規労働者が増えている。

 特に20−24歳の非正規雇用の増加が顕著で、雇用者に占める非正規雇用の割合では1992年には10.7%だったのが、1997年には17.3%、2002年には31.8%まで増えた。25−29歳、30−34歳でも1990年代を通じて倍増し、2002年には2割を超えた。

 25−34歳について、独身でとどまっている理由をみると、「適当な相手にめぐり合わない」が最も多かったが、次に「結婚資金が足りない」の割合が高かった。特に、1997年以降では「適当な相手」の割合は減る一方、「結婚資金」の割合は増加している。

 新卒者の就職率は改善傾向になったが、「就職氷河期」に良質な就業機会を得られなかった「年長フリーター」について、白書は「企業が人物本位で採用の門戸を広げていくことが期待される」と強調。具体的には新卒者を中心にした「定期採用」の仕組みを複線化していくことや、採用年齢を引き上げることなどを強く求めた。【了】

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