2030年度をめどに、あざみ野〜新百合ヶ丘間が開業することになった横浜市営地地下鉄ブルーライン。ずいぶん先だと思うかもしれないが、地下鉄の新線・延伸は工事以外にもすべき工程がいくつもある Photo:PIXTA

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2030年度をめどに、横浜市営地下鉄ブルーラインが延伸することになった。今回の延伸によって、どのように便利になるのか、そして、今後どのようなステップを経て完成していくのか、まとめてみた。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

政令指定都市の市域をまたぐ
国内初の延伸計画

 横浜市は1月23日、2030年度をめどに横浜市営地下鉄ブルーラインを、現在の終点あざみ野駅から、川崎市麻生区にある小田急線新百合ヶ丘駅まで約6km延伸させると発表した。

 今回注目すべきは、整備にあたって横浜市と川崎市が相互に連携・協力するという覚書が結ばれ、川崎市も建設費の一部を負担することに合意したことだ。隣接する政令指定都市の市域をまたぐ地下鉄は、国内では初めての事例だ。

 川崎市は元々、新百合ヶ丘から元住吉を経由して川崎に至る川崎市営地下鉄計画を推進していた。2001年に国土交通省から事業許可を受け、建設に向けた手続きに着手したが、その後財政事情の悪化を受け計画を一時凍結したまま再開することができず、2018年3月に計画を完全に中止した経緯がある。

 今回の覚書では、総事業費の約12%(地下鉄整備の「相場」は1kmあたり300億円。6kmの延伸なので約1800億円とすると約216億円)を川崎市が負担すると想定している。川崎市は自前の地下鉄建設よりもはるかに少ない費用で、川崎市北部地域の交通アクセスを改善できるというわけだ。

 首都圏全体から見れば、横浜市営地下鉄は地味な存在に思われがちだが、横浜市は370万人もの人口を擁する日本第2の都市である。東京都市圏の一部であると同時に、独自の横浜都市圏も形成しており、総延長53.4kmの地下鉄網は東京、大阪、名古屋に次ぐ日本で4番目の規模であることを見逃してはならない。

 横浜市営地下鉄は、あざみ野と湘南台を結ぶブルーラインと、日吉と中山を結ぶグリーンラインの2路線からなる。

 延伸は多摩地域とのアクセス向上に寄与する。多摩地域と横浜・川崎方面を結ぶ路線はJR横浜線とJR南武線が存在するが、その中間を走る多摩都市モノレール(立川〜多摩センター間)、小田急多摩線(多摩センター〜新百合ヶ丘間)、ブルーライン(あざみ野〜横浜方面)の、あざみ野〜新百合ヶ丘間がミッシングリンクになっているからだ。

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