グループリーグ初戦コロンビア戦で2-1と勝利し、アジア勢としてはW杯で初めて南米勢を撃破【写真:Getty Images】

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コロンビア撃破で96年アトランタ五輪“マイアミの奇跡”に重ね合わせる質問が飛ぶも…

 日本代表の1勝は歴史的快挙だった。

 19日のロシア・ワールドカップ(W杯)グループリーグ初戦コロンビア戦で2-1と勝利し、アジア勢としてはW杯で初めて南米勢を撃破。西野朗監督率いる日本は金星を手にしたが、指揮官の脳裏にはアトランタ五輪の苦い記憶が脳裏をよぎっているようだ。その不吉な予兆とは――。

 試合は開始3分に相手MFカルロス・サンチェスがハンドの判定で一発退場となり、そのプレーで得たPKをMF香川真司が決めて日本が先制。前半39分に低弾道FKを叩き込まれ1-1に追いつかれるも、後半28分にMF本田圭佑の左CKからFW大迫勇也がヘディングで決勝点を流し込んだ。

 西野監督も試合終了のホイッスルを聞いた瞬間にガッツポーズを繰り出し、スタッフや選手たちと喜びを分かち合っていたが、試合後、取材エリアに姿を現わした時にはすでに落ち着きを取り戻し、いつものポーカーフェイスに戻っていた。アジア勢がW杯で初めて南米勢を倒す歴史的な勝利とあって、報道陣からは1996年アトランタ五輪で格上ブラジルを撃破した“マイアミの奇跡”に重ね合わせる質問も飛んだ。

 だが、当時指揮を執っていた西野監督は、コロンビア撃破で吉兆よりも、むしろ凶兆の予感を感じ取っているという。その理由はアトランタ五輪にある。初戦でブラジルを1-0と撃破して番狂わせを演じたが、続くナイジェリア戦で0-2敗戦、そして第3戦目ハンガリー戦で3-2と勝利。日本は2勝1敗でブラジル、ナイジェリアと勝ち点で並ぶも、得失点差でグループリーグ敗退の憂き目を見た。

初戦で格上の南米勢撃破も…「次はアフリカ代表にやられている」

 西野監督は当時を懐かしむように、アトランタ五輪ブラジル戦後の2試合について言及。「(アトランタ五輪で)次はアフリカの代表にやられている。(アトランタ五輪の)ハンガリーが(ロシアW杯の)ポーランド。同じような対戦相手」と口にした。初戦で南米勢と激突し、アフリカ勢、ヨーロッパ勢と続く組み合わせに嫌な予感を抱いているようだ。

 ちなみに、第1戦のもう1試合はセネガルがポーランドを2-1で破っているが、アトランタ五輪でも第1戦でナイジェリアがハンガリーに1-0と、アフリカ勢がヨーロッパ勢に勝利する同じ構図となっている。

 もし歴史が繰り返すのなら、日本は24日のセネガル戦に敗れ、28日ポーランド戦で勝利するも得失点差で3位となり、グループリーグ敗退となる。果たして、コロンビア撃破は吉兆なのか、それとも凶兆なのか――。次戦セネガル戦に懸かっている。(大木 勇(Football ZONE web編集部) / Isamu Oki)