昨年から今年にかけて、続々と新たなホテルが誕生している。その多くが、従来の五ツ星ホテルとは違うスタイルをもつ個性派だ。いま、ホテルのニーズと作り方が大きく変わってきている。




アパレル企業が、渋谷に“遊べる”ホテルを作った!
『ホテル コエ トーキョー』

2018年2月オープン


宿泊者のライフスタイルが変わり、それに沿ってホテルへのニーズも変化している。近年誕生しているホテルはその勘所が冴えていて、渋谷の『hotel koe tokyo』がそのいい例だ。

まず、今後のホテルのテーマとなるであろう“パブリックスペースの充実化”が上手い。



15時から17時の間にチェックインしたゲストには、ウェルカムドリンクとしてラウンジで宇治抹茶をふるまってくれる


従来は客室以外を利用する際、コーヒー1杯でも頼まないと居られないところ、ここでは、宿泊者はラウンジをリビングやオフィスのように自由に利用できる。それも15時から18時の間には無料のフリーフローがつく寛容さ。



写真の1Fがカフェ・レストラン、2Fがアパレルショップ、3Fがホテルとなっている


つまりエグゼクティブラウンジを“どうぞ長居してください”というスタンスで全員に提供しているようなものだ(エグゼクティブラウンジ自体が古いものになっていくかもしれない)。

いまは多くの人がPCひとつでどこでも仕事ができるため、そんな背景を考慮しているのだろう。



通称“M”という部屋(呼び方は服のサイズにならっている)。小上がりがありベッドが低く、和の空間を彷彿とさせる部屋のテーマは茶室。ホテルには珍しく黒やグレーを貴重とし、ガラスの向こうは浴室となっている


変わって、当然あるものがなかったりする。『hotel koe tokyo』にはテレビがない。代わりに大胆にアートを飾ったり、テレビの位置を気にしない自由なレイアウトとなっている。



客室“M”のバスルーム


“M”の部屋の場合、ベッドの前はガラス張りの浴室だ。シャンプーなどは大きなボトル型で、ホテル側にも利用者にも無駄がないのが清々しい。

最近はサステナビリティの意識から1日でシーツを替えるのを好まないゲストも増えてきて、よしとされてきたことが変わりつつある。



全室に無料で国内・国際通話も可能なスマートフォンを用意している


同ホテルを作ったのはアパレル企業のストライプインターナショナル。そのため、施設内でセルフ&キャッシュレスで服を買うことも可能だ。

『hotel koe tokyo』のような他業種からの参入が、日本の今後のホテルシーンを大きく変えるきっかけとなるだろう。


【施設概要】
施設名:ホテル コエ トーキョー
住所:渋谷区宇田川町3-7
TEL:03-6712-7251
部屋数:全10室
料金:1室1泊¥36,000〜(税サ別)


リーズナブルな価格帯のホテルも、急増中!




小さな空間に遊び心が凝縮。まさに大人の秘密基地!
『星野リゾート OMO5 東京大塚』

2018年5月オープン


星野リゾートが新スタイルの都市観光ホテルとして『OMO』をオープン。4月に北海道・旭川、5月に東京・大塚に開業する。

大塚では小さな空間でも楽しんでもらえるよう、全室に櫓寝台を採用。大きなソファが置かれた寛ぎスペースの上に櫓寝台を作り、童心にかえるやんちゃな構造になっている。触り心地のいいヒノキや畳張りを取り入れるなど、素材は抜かりなし。

ラウンジにはディープな周辺情報をまとめた大きな地図が置かれるなど、とことん“遊び”を追求している。

【施設概要】
施設名:星野リゾート OMO5 東京大塚
住所:豊島区北大塚2-26
TEL:0570-073-022(星野リゾート予約センター)
部屋数:全125室
料金:2名1室利用時1名あたり1泊¥7,000〜(税サ込)





日本のデザインの面白さに刺激を受けるホテル!
『ノーガ ホテル ウエノ』

2018年秋オープン


『NOHGA HOTEL UENO』は、上野の下町文化や日本の職人技を備品やアートに生かし発信するホテル。インテリアショップ『IDEE』創業者の黒崎輝男氏が総合キュレーターとなり、ホテル内の備品やアート作品の配置を務める。

備品に採用しているのは、日本初の黒の江戸切子を開発した『木本硝子』や、着物に手描きで家紋を描く『京源』、デザインプロダクトや雑貨を発信する『SyuRo』。

それらアイテムに興味をもったら、実際に工房や店舗で見学をし、作り手と話しモノに触れ、そこでしか味わえない経験を得ることができる。ホテルで数々のアートに囲まれて過ごす時間は、美術館では体感できない贅沢な瞬間だ。

【施設概要】
施設名:ノーガ ホテル ウエノ
住所:台東区東上野2-21-10
部屋数:全130室
料金:1泊1室¥20,000〜(※予定)





泊まったあとには部屋の家具を購入できる!
『ホテル ザ ノット ヨコハマ』

2017年12月リニューアルオープン


もとは『横浜国際ホテル』だった建物が、フルリノベーションを経て生まれ変わった。

港町のホテルのため、客船のキャビンをイメージした部屋があるのがユニークで、特筆すべきは家具の上質さ。実は『アクメファニチャー』がインテリアデザインを手がけており、ソファ、デスク、ランプなどのオリジナル家具は購入することもできる。

靴べらやブラシなどのアメニティもお洒落で、使い心地もいいので気分があがる。横浜へのドライブデートがてら、足を運んでみては?

【施設概要】
施設名:ホテル ザ ノット ヨコハマ
住所:神奈川県横浜市西区南幸2-16-28
TEL:045-311-1311
部屋数:全129室
料金:1泊1室¥6,000〜(税サ込)