クルマに貼られるステッカーは粘着力が強く、うまくはがれずに苦労したり、作業でガラスやボディーを傷つけてしまう心配もあります。どうすればきれいにはがせるのでしょうか。

薬剤の前に試せることがある

 中古車を買った時に元からついていた車庫証明のステッカーを貼り替えたり、過去にドレスアップ目的で貼ったステッカーを取り除いたりと、クルマを所有すると時々ステッカーをはがす必要が出てくることがあります。


ドレスアップ用のステッカーをボディに貼ったスポーツカー(画像:drew300/123RF)。

 ただ、クルマに貼られているステッカーは、簡単にはがれないように粘着力を強くしたものが多いため、指ではがそうとするとステッカーが破れたり、粘着部分が残ったりして苦戦することがあります。

 カー用品店ではそうした時に役立つステッカーはがし剤や工具などを販売していますが、カー用品総合専門店「オートバックス」を運営するオートバックスセブン(東京都江東区)に聞いたところ、「最初は最も簡単な方法から試してほしい」といいます。
 
「いきなり最初から薬剤を使うのではなく、まずはドライヤーなどでステッカー部分を温めてみて下さい。熱によって粘着剤の効果が弱まるので、ステッカーによっては温めるだけできれいにはがれる場合があります」(オートバックスセブン IR・広報部)

 ステッカーを温めるだけではうまくはがれない時や、そもそもクルマの近くに電源がなくドライヤーが使えない場合に、ステッカーはがし剤の出番というわけです。ステッカーはがし剤は、スプレータイプ、液状タイプ、ゼリータイプがありますが、オートバックスセブンの話によると、薬剤が定着しやすいゼリータイプのものがおすすめだそうです。

 また、ステッカーはがし剤の効果を高める、プロ直伝のテクニックも教えてもらいました。

「現場のスタッフの話によると、ステッカーはがし剤を塗った場所をラップで覆って数分間置くと、薬剤がよく浸透し、さらにはがしやくすなるそうです。また、薬剤を使っても残ってしまう粘着成分などは、ステッカーはがし用のスクレイパーを使うときれいに取り除くことができるそうです」(オートバックスセブン IR・広報部)

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 一方、ステッカーをはがす作業で心配なのは、「ガラスやボディーを傷つけないか」という点です。薬剤や工具を使ううえで、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

愛車を傷つけないために注意すべき点は?

 オートバックスセブンの話によると、ステッカーをはがす作業でクルマを傷つけないためには、用途に合った商品を選ぶことが大切だといいます。

「ご家庭での掃除では、ラッカーシンナーを使ってステッカーをはがす方法が知られていますが、自動車のボディーにそうした薬剤を使った場合、製品によってはボディーの塗装を傷めてしまう恐れがあります。自動車用のステッカーはがし剤にも、『自動車ガラス用』『自動車ボディー用』などと明記してありますので、用途をしっかり確認して購入していただきたいです」(オートバックスセブン IR・広報部)

 また、ボディーの塗装面でスクレイパーを使いたい場合も、「塗装を傷つける可能性がないかどうか、購入前に販売店で相談していただきたい」とのことです。


ドライヤーを使ってステッカーをはがす作業の一例(2018年3月9日、乗りものニュース編集部撮影)。

 ちなみに、クルマのフロントガラスに貼られるステッカーには決まりがあり、フロントガラス上部中央の車検ステッカー(検査標章)をはがすと道路運送車両法違反になり、50万円以下の罰金が課せられます。丸型の「点検整備済」ステッカーには表示義務がありませんが、有効期限を過ぎたものははがさなければなりません。クルマの購入時などにリアガラスに貼られている「低排出ガス車」などのステッカーは、はがしても自動車税額に影響はないそうです。

【写真】はがすとNG! フロントの車検ステッカー


フロントガラスに貼付された車検ステッカーは表示義務があり、はがすと違法になる(2018年3月9日、乗りものニュース編集部撮影)。