これからの季節に気を付けたい感染性胃腸炎

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「今年もやっぱり、食欲の秋」とばかりに、つい食べ物に手が伸びてしまう時期。食べ過ぎ、飲み過ぎを後悔する日があるかもしれない。

これからの時期に注意したいのは、感染性胃腸炎だ。毎年12月に流行のピークを迎えるが、患者数が増え始めるのは、毎年11月初旬。特にノロウイルスの感染は避けたい。

12月中旬から年末にかけてピーク

ツイッターを見ると、感染性胃腸炎と診断されたという投稿が既にいくつも見られる。38度以上の発熱を示す体温計の写真、「トイレが友達」という嘆きと、苦しんでいる人は多い。

感染性胃腸炎の病原体には、大きく分けてウイルス、細菌、寄生虫がある。冬に多いのは、ウイルス性だ。

東京都福祉保健局は2017年10月26日、例年11月から2月にかけて保育所や幼稚園、高齢者施設を中心に感染性胃腸炎の集団感染が多く発生するとしてウェブサイト上で注意を呼びかけた。昨シーズンとなる2016〜17年シーズン(16年第36週〜17年第35週)、都内では800件の集団感染事例が報告された。

昨シーズンの東京都の定点当たり患者報告数を見ると、12月中旬から年末に該当する第49週〜51週にかけてピークを迎えた。例年この時期に最も患者報告数が多い。都の福祉保健局になぜ12月終盤に集中するかを問い合わせたが、はっきりとした原因は明らかではないという。ここからは推測になるが、年末にかけて忘年会が重なり、外での飲食回数や大勢の人が集まる機会が増え、不特定多数の人と過ごす時間が多くなる。一方で気温は低く、また師走の忙しさから体調を崩しながらも何とか乗り切ろうとしている人は少なくないだろう。これらの条件が重なり、集団感染が増えるのかもしれない。

全国的にも、2016年の年末は感染者数が多かった。国立感染症研究所発表のデータを見ると、定点当たり報告数は第50週に20.89人で、この週に限れば過去10年間で最も多かった。前週の第49週も19.45人と、2012年に次ぎ2番目に多い数だった。

「ノロ」にはワクチンが存在しない

東京都は感染症対策として、こまめな手洗い、二枚貝の十分な加熱調理、吐物やふん便の適切処理を挙げている。これは特に、冬季に流行するノロウイルス感染を防ぐための注意喚起といえよう。

ほとんどは経口感染で、例えばウイルスに汚染された食べ物を食べたり、感染者との接触でうつったりするほか、患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐しゃ物を処理した際に、人の手などを介して二次感染する可能性がある。激しい下痢やおう吐、腹痛を起こし、ワクチンが存在しないので治療は対処療法に限られる。

厚生労働省の発表資料によると、直近となる2015年の患者数は1万4876人で、過去5年間では2012年に次いで多かった。

子どもや高齢者は、それぞれが施設で、大人数で一緒に過ごす時間が長くなりがちだ。しかも感染すると、重症化しやすいので予防に努めたい。