織田信長や千利休に愛された国宝級の名碗が一堂に揃う特別展「茶の湯」

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織田信長や千利休など、日本の歴史を動かした武将や茶人たちが手にした国宝級の茶碗や茶道具。そんな「茶の湯」の世界のオールスターを一堂に集めた展覧会が、37年ぶりに開催されるそう。歴史的なエピソードを持つ名品の数々は、茶道に興味がある女子だけでなく、歴史好きや美術ファンもきっと見ておきたいと思うはず。

◆室町時代から近代まで、各時代を象徴する名品がずらり

1980年(昭和55年)に、茶道具を日本美術として取り上げた初めての展覧会が開催されてから37年。上野の東京国立博物館では、2017年4月11日(火)から6月4日(日)まで特別展「茶の湯」を開催する。

お茶を楽しむ文化が中国からもたらされたのは12世紀頃だけど、今回はおもに「茶の湯」が広まった14世紀の室町時代から、明治時代までの流れを中心に展示が行われるそう。



重要文化財 青磁輪花茶碗(せいじりんかちゃわん) 銘 馬蝗絆(ばこうはん)【中国・龍泉窯 南宋時代・12〜13世紀】 東京国立博物館蔵

例えば、写真の重要文化財「青磁輪花茶碗(せいじりんかちゃわん) 」は、室町幕府の将軍・足利義政(あしかがよしまさ)が所有していたもの。

ヒビが入ったので義政が替わりの品物を中国に求めたところ、「これほど美しい青磁はもはや作れない」と鎹(かすがい:クギ)を打って送り返されたというエピソードを持つ逸品とか。

◆国宝や重要文化財が満載!日本で焼かれた茶碗の最高峰と呼ばれる逸品も

名碗の産地は中国、朝鮮、日本とそれぞれに異なるけれど、どれもが第一級の名品なので、国宝や重要文化財となっているものが多い。

こちらの志野茶碗「卯花墻(うのはながき)」は、日本で焼かれた「国焼(くにやき)」の茶碗のなかでも最高峰と言われる傑作で、国宝に指定されている。国焼の茶碗で国宝になっているのは2碗だけで、そのうちのひとつがこの茶碗というわけ。



国宝 志野茶碗 (しのちゃわん)銘 卯花墻(うのはながき)【美濃 安土桃山時代・16〜17世紀】 東京・三井記念美術館蔵

◆茶室空間を飾る掛物や花入など、最高級の中国美術「唐物」も紹介

また、「茶の湯」の文化に欠かせない茶室の装飾についても、「唐物(からもの)」と呼ばれて好まれた中国の美術品をはじめ、貴重な名品を展示。

床の間を飾る掛物の「紅白芙蓉図」は、12世紀ごろの中国・南宋時代に描かれたもので、こちらも国宝。この花は1日のうちに白から紅色へと色が変わる「酔芙蓉」で、その変化を繊細な筆致で描き分けている。



国宝 紅白芙蓉図(こうはくふようず)【李迪筆 中国 南宋時代・慶元3年(1197)】 東京国立博物館蔵(展示期間:5月23日〜6月4日)

◆信長、秀吉、家康が所蔵した茶壷も!天下人や文化人が愛でた名品を同じ目線で楽しんで

中国から伝わったお茶の文化が、中国の「唐物」から朝鮮の「高麗物(こうらいもの)」、そして日本の「和物」へと変化する中で愛された名品も登場。

なかには、お茶の葉を保存するための茶壺ながら、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と、天下を取った人物たちが所有したというエピソード付きの重要文化財「唐物茶壺 銘 松花」(徳川美術館蔵)も。

写真の黒楽茶碗「ムキ栗」は、安土桃山時代を代表する陶芸家で「楽焼(らくやき)」の創始者である長次郎の作とされ、これも重要文化財。上が四角で下が丸い形になった異色の作品は、明治時代の大富豪で文化人としても名を馳せた平瀬露香(ひらせろこう)が所持したという。

名だたる天下人や文化人たちの愛でた品を、彼らと同じ目線で見ることができるなんて、考えただけでもテンションが上がりそう。この機会に、日本が誇る「茶の湯」の文化にふれてみて。



重要文化財 黒楽茶碗(くろらくちゃわん)銘 ムキ栗(ぐり)【長次郎 安土桃山時代・16世紀】文化庁蔵



TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京都台東区上野公園13-9 東京国立博物館 平成館
アクセス:JR「上野駅」公園口、鶯谷駅南口より徒歩10分、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」千代田線「根津駅」、京成線「京成上野駅」より徒歩15分

会期:2017年4月11日(火)〜6月4日(日)
開館時間:9:30〜17:00 金・土曜日は20:00まで、日曜および5月3日(水・祝)・4日(木・祝)は18:00まで
休館日:月曜 ただし、5月1日(月)は開館
チケット(前売):一般1600円(1400円)、大学生1200円(1000円)、高校生900円(700円)
※「プレミアムグッズセット券」7200円(インド型押し更紗木綿の懐紙入れ、黒檀福ようじ、展覧会オリジナル懐紙、観覧券1枚)限定数に達し次第終了

NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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