タラジ・P・ヘンソンとサラ・シャヒ

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アメリカのTV界では、アフリカ系やアジア系、ヒスパニック系などの非白人が、番組のメインキャストとなることが新たな潮流となっている。ところが、アメリカの国外に番組を売り込む時、肌の色はいまだに障壁になっていることを、米Hollywood Reporterが伝えた。

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例えば、ヒップホップの音楽界を描く米FOXのドラマ『Empire 成功の代償』はアメリカでは大ヒットしている。しかし、英国のE4では、シーズン1の視聴者数は71万7000人(3%シェア)と並みの成績にとどまり、シーズン2では59万5000人(2.2%シェア)とさらにダウン。また、オーストラリア、カナダ、ドイツでの成績も芳しくない。

上の状況を踏まえて、FOXインターナショナルTVのマリオン・エドワーズ社長は、TVにおけるダイバーシティ(多様性)を、世界の視聴者はまだ受け入れる準備ができていないと考えている。「ダイバーシティを重視したキャストは、アメリカのTVシリーズにとって新たなハードルになります。それを認識しないのは愚かしいことです。担当部署には次のように伝えています。ダイバーシティを主要キャストに取り入れすぎると、海外市場に持ち込む時に問題が生じることは頭に入れておく必要がある、と」と話すエドワーズ。

しかし、『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』や『CSI:科学捜査班』のように、ダイバーシティを取り入れた出演陣が、海外での視聴成績にダメージを与えていないケースもある、とエドワーズは言い添えている。

この違いについて、米アイオワ大学のティモシー・ヘイヴンズ教授は、ドラマには『CSI』『グレイズ・アナトミー』『殺人を無罪にする方法』のように、"黒人は出てくるが物語は人種を問わない"作品と、『Empire』のように、"黒人ならではの物語を描く"作品の2種類があり、後者はアメリカ以外での市場規模は限られているのだと説明している。

なお、今後の新作ドラマとしては、『24 -TWENTY FOUR-』のスピンオフ『24: Legacy(原題)』(主演:コーリー・ホーキンズ)や、リメイク版『Rush Hour(原題)』(主演:ジョン・フー&ジャスティン・ハイアーズ)、そして、人気探偵ナンシー・ドリューのミステリードラマ(主演:サラ・シャヒ)などが予定されており、ダイバーシティ重視の傾向は高まる模様。しかしそれは、世界への波及に本当にブレーキをかけてしまうのだろうか?(海外ドラマNAVI)

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