舞台は山陰の海に面した〈暮内町〉。集落ごとに方言が微妙に異なり、それほど地理的に閉ざされてもきた町に、月村了衛氏は東京の中堅商社をリストラされ、やむなく妻〈香苗〉の故郷に身を寄せた34歳の主人公、〈垂水柊一郎〉を置く--。そう。この国の漁業や地方社会の闇を構造的に描き、「週刊ポスト」連載中から広く注目を集めた、『腐魚の海』である。