法律問題を抱えた時に弁護士に相談できるのは、全国民の2割程度しかいないーー。司法制度改革がおこなわれた約20年前にしきりに使われた「2割司法」という言葉。中坊公平元日弁連会長が多用したことでも知られるこの言葉を生み出したのは一人の新聞記者だった。1990年5月、朝日新聞の佐柄木俊郎記者は、会社に届いた手紙と膨大な訴訟資料を目にする。公団住宅の家賃値上げに抵抗し、立ち退き請求の裁判を起こされた高齢男性の遺書