『太陽がいっぱい』といえば、パトリシア・ハイスミス作の小説か、それを原作にしたアラン・ドロンの出世作となった映画を思い浮かべるだろう。『タモリ論』などの著作で知られる樋口毅宏氏が上梓した『太陽がいっぱい』(扶桑社刊)は、プロレスを舞台にした短編小説集である。しかも、登場人物の名前はもちろん変わっているが、実際にあったエピソードをうまくモチーフとして織り交ぜた形で物語が展開する。■ファンならばすぐに