長時間労働から解放されるには?(写真はイメージです)

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 4月です。小保方女史そっくりな微妙に不細工なサークルクラッシャーの皆さんは入学初日から鼻の穴を拡大してハッスルマッスルしていることと思われますが、いかがお過ごしでございましょうか。

 さて、本日は入社前からミカン箱の上に立たされて「押忍! 押忍!」と叫ぶ研修に突っ込まれたことにうんざりし、職場で同僚とか上司に洗剤を売りつけている先輩みたいに早く独立して弟子をこさえた方がいいんじゃないかと思っている皆さんが、春先からホップステップジャンプしたくなるような素敵なお話です。

 本日のお題は「長時間労働」です。ハイ来ましたね、皆さんの大好きな話題。長時間労働。

長時間労働をしている欧米人は2種類いる

 このネタでワタクシも一体これまで白米を何杯食べて来たでしょうか。書けば必ず炎上するこのネタは、ベビーカーとかフェミとか同性愛とか『報道ステーション』の様な、炎上鉄板ネタなわけで。それだけ関心を持っている人が多いから燃えまくるわけでありますが、そもそも、労働時間が長くてどう、に関心を持ってしまう人が多いと言うことが異常なわけであります。

 なぜ異常かと言いますと、先進国で下々のものまでが1日10時間も働いているのは日本くらいのものなのですよ。

 欧州でも長時間労働の人はいるんですよ。それはスーパー大雑把に分けると2種類の人々ですね。まずはじめに、そこそこ金がある雇われ人と成り上がり起業家。その次が底辺移民です。

 そこそこ金がある雇われ人というのは、雇われている弁護士とか、雇われている会計士とか、雇われている銀行屋とか、雇われているコンサル屋とか、雇われている広告屋です。

 皆さんソコソコ稼いでいますが、儲かっているのは雇う方ですね。雇われている以上、奉公人に過ぎませんので、厳しいノルマがあって、達成しないと「死ねコノヤロウ。ユーはファック」とか『トップギア』のクラークソンより酷いことを言われて言われて酷い目にあいます。

 何せノルマがキツすぎるので、9時から5時じゃ追いつかない。でも、ランドローバとかで巨大な家とか、ヨットで休暇とか、家にいるバービーみたいな妻から文句を言われないために長時間働かざる得ないんです。

 で、長時間労働の末に脳溢血、心臓マヒ、デブすぎて死亡というのもよくあります。ワタクシの知り合いは銀行屋ですが、長時間労働の末に免疫が何かが弱ったらしく、謎の伝染病みたいな病気にかかって死にかけましたが、ちょうど外国にいる時で、健康保険に入っていなかったので医療費を600万円くらい払うという羽目になりましたが、金持ちだからまあいいでしょう。

 成り上がり起業家も長時間労働です。コネも地盤も血縁も美味しい取引先もないので、長時間働いてコネを作ったり、売り込みしたり、資金繰りと何とかしなくちゃなりません。中小企業のオッサンも若者も、どこでも同じ様なものです。しかし表では成年実業家とかいって涼しい顔をしてなければなりませんので、なかなか辛いものがあります。でも、まあそこそこ金は持っています。

 でもピケティ先生的に言いますと、高収入雇われ人も、成り上がり起業家も、所詮貧乏人で負け組であります。勝ち組は資産を持っている金持ちでありまして、働かない人々です。資産がない時点でもうダメなのです。

1週間3食付きリゾートが3万円しない理由

 さて、その次の長時間労働者のカテゴリは底辺移民労働者です。欧州の底辺移民労働者というのは、ソマリアとガーナとかナイジェリアとかラトビアとかチェコとかロシアとかウクライナとかブルガリア出身で、一日16時間ぐらい働かされていて、月収3万円とか、パスポートを怖いオッサンに持って行かれてしまったとか、そういう人々です。

 もちろん違法なんですけど、イギリスなんて移民局が人不足で、仕事が面倒くさいあまりにビザの処理なんてインドとかフィリピンに丸投げしていている所もあって、しかも移民管理システムがグタグタで、難民認定がおりたかどうか、7年調べてもまだわかんないとか、申請したパスポートが数万件単位で処理できませんでした、でも俺シラネ、みたいな所ですので、月収3万円で英語もよくわかんない人が、納屋に住んでようが、1日18時間働いてようが、普通の仕事が追いつかないので摘発のしようがないんです。そんなことしてたら夏休みがとれませんので。

 でもここのイチゴは安いんです。なぜかというと、底辺の移民が一日15時間位働いて摘み取ってくれるからです。労働法的にどうよ、ですけど、あの人らは英語がわからないんで、訴えようがないんです。

 欧州ではわりとよく働く方のイギリスでこんな感じなので、イタリアとかスペインとかギリシャの方の煮え煮え度は想像するまでもないでしょう。ドイツやイギリスでは、ギリシャのリゾート1週間3食付き、飛行機代に空港送迎付きで2万8000円なんてツアーが売ってるんですけど、そういうリゾートでは底辺移民がただ同然の給料で1日15時間くらい働いてたりします。でも摘発されないし、客はベロンベロンに酔ってるから、そんなの気にしてないんですけど。

 イタリアなんか、中華料理屋の裏で良くわかんない人が働いてますし、道路で謎のコピーソフトを売ってる人とか、高速道路の脇にパンツ一丁で立っているロシア出身の金髪のお姉様方なんていったい、1日何時間働いているのかよくわかりません。で、この人らが週末になると公園で殴り合いしてるんです。

 ところで、高収入の雇われ人と、底辺移民以外の、いわゆる「フツーの人々」はどうやって働いているかというと、あの人らはそもそも仕事が大嫌いで、高収入雇われ人になれる様な頭脳も学歴もないとわかってますし、資産もないし、かといって、底辺移民並みに長時間働いてももの凄く稼げるわけではないので、9時から5時までちんたら働いて、昼から飲んじゃったり、コンピューターの入力を間違えて客が電気料金30年分請求されちゃったりするんですが、そんなことがあってもお構いなしで、仕事が残っていても夏も春も有給は全部消化しますし、もっと稼げる職場があれば、ハイサヨウナラと人情も何もなしに、酒場の流しの様に転職してしまいます。

 そして会社が法律違反してないかどうか、労働法とか内規なんかをチクチクとチェックして(もちろん勤務時間内にやる)、違反があれば弁護士やとって訴えて賠償金をもらって、さっさと引退するんです。

とっとと夢も希望も捨てて目を覚ませ

 日本だったら2ちゃんに罵詈雑言を書かれていそうな人ですけど、こっちだと「フツーの人々」はそもそもそういう人が大半なので、罵詈雑言の書かれ様がないわけです。大半の「フツーの人々」は、自分の社会における立ち居位置というのを見切っていて、夢も希望も持たず、自分がいかに楽しく楽にやるかと、大変自己チューな心を持って生きているというわけです。

 ところが我が国では、この「フツーの人々」が、なぜか欧州の高収入雇われ人や、底辺移民並みに長時間労働していて、なぜかそういう人々が大半で、イヤダイヤダと思いつつ、夜9時くらいまで会社にいて、有給を取れてなかったりするわけです。

 つまり何がいいたいのかというと、日本の「フツーの人々」はとっとと夢も希望も捨てて目を覚ませということです。勤務時間中は会社が法律違反していないかミチミチとチェックするとか、昼から飲酒して酒臭い息で会社に戻るとか、ピケティ先生を読んで絶望するとか、そういう有意義なことに時間を使うことこそ人生の醍醐味といえましょう。

 そうしますと、電気代を30年分請求されたり、ネットが1か月繋がらないとか、電話線引くのに半年かかるとか、送ったものが半分位なくなるとか、税金が間違ってて役所が直すのに3年かかるとか、車のドアが高速で落下とか、路線バスが交差点で激突とか、コンビニの棚に並んでるものが賞味期限切れまくりとか、すき家で頼んだものが1時間たってもでてこないとか、そういうことが頻繁に起こるわけですけど、でも、まあ長時間労働からは解放されるんですよ。

 ところでロンドンではイースターの週には月曜日の昼からオフィス街のパブが人で溢れかえっています。普段だと水曜日からなのでちょっと早いですが、出社しているだけ「よくできました」といってあげたいと思います。

著者プロフィール

コンサルタント兼著述家

May_Roma

神奈川県生まれ。コンサルタント兼著述家。公認システム監査人(CISA) 。米国大学院で情報管理学修士、国際関係論修士取得後、ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経てロンドン在住。日米伊英在住経験。ツイッター@May_Romaでの舌鋒鋭いつぶやきにファン多数。著作に『ノマドと社畜』(朝日出版社)、『日本が世界一貧しい国である件について』(祥伝社)など。最新刊『添削! 日本人英語 ―世界で通用する英文スタイルへ』(朝日出版社)好評発売中!

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