はたして「巨人対横浜」開幕戦の視聴率は?

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 球春到来──。

 長い冬が終わり、日に日に春らしさが増してきたと同時に、プロ野球も3月27日に待望の開幕を迎えた。男気で広島復帰を決めた黒田博樹、同じくメジャーから福岡ソフトバンクに新天地を求めた松坂大輔、ますます怪物性に磨きがかかる大谷翔平ら、スター選手に注目が集まる。そして昨年、ペナントを制しながらもクライマックスシリーズで阪神に敗退。日本シリーズに出場も叶わなかった読売ジャイアンツのリベンジなるか? ……などなど。今シーズンも話題満載だ。

 しかしプロ野球関係者の中には、なぜか曇り顔もチラホラ。聞けば開幕戦にまつわる不安があるらしい。

「巨人vs横浜の開幕戦、日本テレビの生中継(午後5時50分〜最大延長9時24分まで)で、史上初となる中継視聴率一桁が出る可能性が大きいからですよ」(スポーツ紙記者)

開幕戦の視聴率は聖域

 近年、プロ野球の視聴率低下が報じられるが、開幕戦とて例外ではない。2002年開幕戦は実に28.2%の高視聴率を誇ったが、年々低下して昨年はついに10.0%。十余年でほぼ三分の一となったが、かろうじて首の皮一枚で二桁を維持した。

 ペナントレースでは、年間平均視聴率も優勝決定試合の視聴率も、一桁が普通になってしまったプロ野球において、開幕戦の視聴率は最後の聖域。何としても二桁を維持することが、至上命題なのだ。ドラマ等でもそうだが、初っぱなで数字を取らないと、どうしても先細りしていく。

 ところが今回は相手が悪かった。裏となるTBSで午後7時からサッカー日本代表の対チュニジア戦が中継され、午後7時57分からフジテレビでは世界フィギュアスケート選手権の男子ショートプログラムが放送された。親善試合とはいえサッカーはハリルホジッチ監督の初陣、フィギュアは女性人気抜群の羽生結弦が出場。ともに注目度が高く、まさに「前門のサッカー 後門のフィギュア(注1)」状態だ。

「何もこっちの開幕戦と同じに日にしなくってもなぁ」

 と、巨人の原辰徳監督はボヤいたそうだが、3月30日午後には視聴率の結果が出る。

 もし二桁が維持できても慢心せずに、更なる人気回復に取り組むべき。しかし一桁転落だったら、前クールの視聴率崩壊ドラマ(注2)のように、担当プロデューサーが「すべて私の責任。プロ野球は悪くない」と呟くしかないか……。

(注1)前門の…オリジナルは「前門の虎 後門の狼」(趙弼 『評史』より)
(注2)視聴率崩壊ドラマ…堀北真希主演「まっしろ」。あまりの低視聴率にプロデューサーがTwitter上で謝罪した。

著者プロフィール

コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。DMMニュースではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ