策なし、強さなし、スターなし……あまりに寂しい“地味な”ミラン
イタリア代表、そして各国代表選手が名を連ねており、決して個々の能力は低くないが、この試合を怪我や出場停止で欠場した主力選手を含めても、かつてのようなワールドクラスの豪華さはまるでない。
実績とネームバリューでは一番だったフェルナンド・トーレスが古巣アトレティコ・マドリーに復帰し、我々日本人にとって最も馴染みと愛着のある(であろう)本田が不在ということで、なおさらミランの寂しい現状が見えてしまったかたちだ。
ミランのレジェンドであるパオロ・マルディーニは、愛するクラブの現状について「長く受け継がれてきた伝統が途絶えてしまった。自分の大事なものを汚された気分だ」と怒りを込めて語っているが、シルビオ・ベルルスコーニがオーナーに就任した1985年以来、続いてきたワールドスターの系譜も、ついに途絶えてしまった。
ミランの凋落が声高に叫ばれるようになったここ数シーズンでも、ロビーニョ、カカ、そしてマリオ・バロテッリといった輝きを放つ存在がチームにはいたものだが(活躍の有無は別として)、今ついにスター級選手は皆無となった。これでは、弱小クラブが恐れを抱かなくなるのも当然と言えるだろう。
経済事情を考えれば、今後もスター選手を獲得するのは難しく、ミランは「技術に優れた小粒な集団」として存在していくことを余儀なくされるだろう。もちろん、過去のワールドスターのなかには、ミランで成長して昇り詰めた選手も多々おり、今後もそれを期待したいところだが……。
◎ミランに在籍した主なワールドスター
フランコ・バレージ(1974-1996)
パオロ・マルディーニ(1984-2009)
ルート・フリット(1987-1993)
マルコ・ファン・バステン(1987-1995)
フランク・ライカールト(1988-1993)
デメトリオ・アルベルティーニ(1992-2002)
デヤン・サビチェビッチ(1992-1998)
ズボニミール・ボバン(1992-2001)
ジャンピエール・パパン(1992-1994)
マルセル・デサイー(1993-1998)
ロベルト・バッジョ(1995-1997)
ジョージ・ウェア(1995-2000)
パトリック・クライファート(1997-1998)
レオナルド(1997-2003)
オリバー・ビアホフ(1998-2001)
アンドリー・シェフチェンコ(1999-2006、2008-2009)
フェルナンド・レドンド(2000-2004)
アンドレア・ピルロ(2001-2011)
フィリッポ・インザーギ(2001-2012)
ルイ・コスタ(2001-2006)
クラレンス・セードルフ(2001-2012)
リバウド(2002-2003)
アレッサンドロ・ネスタ(2002-2012)
カフー(2003-2008)
カカ(2003-2009、2013-2014)
エルナン・クレスポ(2004-2005)
クリスティアン・ヴィエリ(2005-2006)
ロナウド(2007-2008)
ロナウジーニョ(2008-2010)
チアゴ・シウバ(2009-2012)
デイビッド・ベッカム(2009、2010)
ズラタン・イブラヒモビッチ(2010-2012)
ロビーニョ(2010-2014)
マリオ・バロテッリ(2013-2014)
フェルナンド・トーレス(2014)
※括弧内は在籍期間。ベルルスコーニの会長就任以降の在籍選手を記載