もしアジアカップで決勝まで進めば、ミラン復帰に2月に入ってから。本田にとって2015年最初のセリエAの相手は、首位ユベントスとなる。前半戦のリベンジを果たせるか。 (C) Alberto LINGRIA

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 16節のローマ戦後、今年の自身を振り返って「5段階評価で下から2番目」という厳しい評価を下した本田圭佑。とはいいながら、ある程度の手ごたえも感じていることを明かしている。
 
 さて、ここではイタリア最大のスポーツ新聞「ガゼッタ・デッロ・スポルト」による16節までの全試合の採点と評価を下に記した。
 
 ここから分かるのは、地元メディアは本田を「ミランの背番号10」という特別な存在として、非常に高い期待をかけているということだ。その期待とは、目に見える結果、つまりゴール、あるいはゴールを生み出す直接的なプレーだ。
 
 極論すれば、献身的に90分間走り回って裏方に徹するよりも、たったひとつのプレーでゴールを生み出すことを求めている。だからこそ、前線でどれだけ動いて味方にスペースを空けたり守備に奔走したとしても、その部分は評価対象にはなりにくい。
 
 自分本位なプレーが散見されながらも、中盤戦に入ってからはゴールを量産し続けているジェレミー・メネーズが常に最高採点をつけられることからも、メディアがどこに重きを置いているかが分かる。
 
 シルビオ・ベルルスコーニ・オーナーも、本田のような堅実なタイプより、ジェノアの10番、ディエゴ・ペロッティのような華やかな攻撃選手を待望しているという。これはもちろん、スペクタクルに満ちていたかつての黄金時代を懐かしむがゆえの願望である。
 
 これに対し、現実を見るべきとの声も多く、確かにその通りではあるのだが、伝統と栄光の歴史を持つミランに属すれば、誰もが、ましてや背番号10を背負う選手であれば、過去との比較を強いられるのは宿命であり、本田もそれを受け入れるしかない(ある意味、それは光栄なことでもある)。
 
 ただ本田には、強い味方が周囲に多くいる。なかでも、フィリッポ・インザーギ監督から絶大な信頼を得ているのは大きい。真摯な姿勢とプレーの向上により、今や若き指揮官のファーストチョイスだ。
 
 そして、チームメイトからの評価も一様に高い。メディアやフロントから何を言われようと、現場に携わる仲間たちからの信頼がある限り、本田の立場が揺らぐことはないだろう。

 背番号10の重責と足枷は思った以上に大きく厳しいが、本田は「それも楽しんでいる」と語る。オーナーの望むファンタジスタにはなれなくとも、現在の力で、他選手との違いを見せ、決定的な仕事を果たすことはできる。
 
 アジアカップ出場による長期欠場は、本田にとっても、インザーギ監督にとっても痛いだろうが、しばし別の道を歩みながら、再び合流した時にどのようなミランを生み出せるのか。それを楽しみにしながら年を越したい。
 
 ◎ガゼッタ紙による本田の採点&寸評
 
第1節 ○3-1ラツィオ
先発(76分間) 1ゴール
採点6.5「先制点の場面では本能的に利き足ではない右足で決めた。その後は、守備面でも効果的なプレーを見せていた」
 
第2節 ○5-4パルマ
先発(62分間) 1ゴール・1アシスト
採点7「ボナベントゥーラへのアシスト、そして練習で体得した素晴らしい動きからのヘディングゴール。その後は消える時間帯もあったが、再び効果的な動きを見せた」
 
第3節 ×0-1ユベントス
先発(83分間)
採点6「自陣での守備に追われるなど、ハードな時間を強いられた。攻撃では相手に脅威を与えられず。決定的なヘッドを放つも、ブッフォンの壁が立ちはだかった」
 
第4節 △2-2エンポリ
フル出場 1ゴール
採点7「ユベントス戦で唯一ブッフォンを慌てさせるシュートを放った男は、このエンポリ戦では左足で正確なシュートを決めた。さらには惜しいFKで逆転にも近づいた」