「薬はあくまでも異物。『百薬の長』といわれるお酒も、アルコール分解酵素がなければ毒にしかならないように、薬を分解・無毒化するのも酵素の働きです。人によっては分解しきれず、悪影響を及ぼすことも。市販薬による死亡事故も起きています」

そう警鐘を鳴らすのは、『薬が病気をつくる』(あさ出版刊)が10万部超えのベストセラーとなった、薬剤師の宇田川久美子さん。薬漬けの医療に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」として活動中だ。

「生活習慣の乱れが招いた病気なら、だいたいはそれを改善すれば薬はやめられるはず。漫然と薬に頼っていては、症状を抑えているにすぎず、根本的な治療にはなりません。そればかりか、さまざまな化学反応が、かえって悪影響を与えかねないのです」

インフルエンザや子宮頸がんワクチンが、手や足に力が入らなくなるギラン・バレー症候群などを引き起こすことは問題視されているが、より身近な薬でも、思わぬ病気の引き金になるという。そこで、意外な薬の怖さについて、宇田川先生に教えてもらった。

【1】鼻炎薬で熱中症に!
「これらのお薬を飲んで、喉が渇いたことはありませんか?鼻水を止める抗コリン薬には、鼻水に限らず、唾液や涙、汗などの分泌そのものを止める作用があるのです。汗が止まると体内に熱がこもってしまうので、熱中症になるリスクが高まります」

【2】解熱剤で免疫力が低下
「風邪のウイルスと戦う白血球を活性化するためには、熱の力が必要。そこで、風邪をひくと体温を上げて、体を治そうとしているのです。それなのに、安易に解熱剤を飲めば免疫力は下がるだけ。治りが遅れるばかりか、子供は免疫力が育たず、かえって病弱になりかねません」

【3】胃薬でぼけやすくなる!?
「多くの胃薬にはアルミニウムが含まれていますが、たくさん摂りすぎるとアルツハイマーを誘発するといわれています。医学界でもまだ結論は出ていませんが、アルツハイマーで亡くなった方の脳にアルミニウムが蓄積していたという報告もあり、関連があることは否定できないのでは」

【4】痛み止めで血流悪化
「鎮痛剤は血管を縮めて痛みの症状を和らげますが、薬は血流に乗って全身を巡っているため、全身の血管が縮められてしまいます。すると、血流は悪化。冷え性や疲れが取れにくいなど不快な症状を引き起こしかねません。しかも効き目が切れればまた痛くなるため、薬の量も増えてしまうのです」

【5】ビタミンCで尿路結石
「毎日ビタミンCのサプリを摂り続けたら、おなかが痛くなり、結石が出たという患者さんがいました。ビタミンCは体内で代謝されるとシュウ酸になるため、過剰に摂りすぎると尿路結石の原因になるという説もあるのです」

現在、日本には承認薬だけで1万品目以上の薬があるが、これらを分解する酵素の働きは人によってまちまち。

「お薬の効き目は人によって千差万別。安易に市販薬に頼らず、病院でも『たくさん飲みたくない』と伝え、どんな薬が処方されるか医師に相談しましょう。日本は皆保険で薬も安いため、医師が『ついでにこれも出しておくか』という場合も少なくない。患者側の意思表示も大切です」

どんな薬にも副作用があることを肝に銘じて、お付き合いはほどほどに!