三菱電機では、18人が1億円以上の役員報酬をもらっている(画像はイメージ)

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2014年3月期決算の上場企業で、1億円以上の役員報酬を開示した企業が191社、361人となり、過去最多となったことが東京商工リサーチの調べでわかった。なかでも三菱電機は18人が1億円以上の役員報酬をもらった。

円安株高のアベノミクスの経済効果もあって、業績が好調だった企業は少なくない。三菱電機には及ばないが、三菱商事や三井物産、トヨタ自動車などでも、1億円以上の報酬をもらった役員は増えている。

高額報酬、製造業が111社、211人で最多

東京商工リサーチによると、2014年3月期決算で役員報酬1億円以上を開示した上場企業(3月期決算の上場企業2466社が対象、7月10日公表)は191社、人数は361人だった。前年より16社(13年は175社)、人数で60人(同301人)も増えた。

191社のうち、 2年連続で開示した企業は149社。2年連続で役員報酬1億円以上を開示したのは225人で、このうち160人は前年より報酬額が増えている。

人数別では、1人の企業が117社(前年比9社増)と最も多く、2人が38社(2社減)、3人が15社(3社増)と続く。1億円以上の役員報酬が2人以上だった企業は74社で、13年3月期の67社から7社増えた。

そうしたなか、法人別で人数が最も多かったのは、三菱電機の18人。2013年3月期の1人から17人も増え、10年3月期決算からはじまった1億円以上の役員報酬の開示制度で、12年3月期のファナックの14人を上回り、過去最多を更新した。

業種別でみると、製造業が111社(前年比12社増)、211人(39人増)と最多。次いで、商社・卸売業が22社(5社増)、48人(16人増)。金融・保険業は14社(2社増)、34人(6人増)だった。

上位を整理すると、

1 三菱電機  18人(17人増)
2 ファナック  10人(3人減)
3 三菱商事  8人(2人増)
4 三井物産  8人(4人増)
5 野村ホールディングス  7人(2人増)
5 トヨタ自動車  7人(4人増)
7 大和証券グループ本社  6人(1人増)
7 伊藤忠商事  6人(2人増)
9 日産自動車  5人(1人減)
10 大塚ホールディングス  4人(1人減)
10 エイベックス・グループ・ホールディングス  4人(増減なし)
10 ソフトバンク  4人(増減なし)
10 三菱UFJフィナンシャルグループ  4人(増減なし)
(  )は、前年比

となった。

ちなみに、12月決算のキヤノンは12人(前年比7人増)が1億円以上の役員報酬をもらっている。

為替相場が円安基調となり輸出を中心とするグローバル企業の業績が改善。14年3月期は好決算が続出したことが、増加の要因とみられる。役員報酬を開示した191社のうち、97社が単体決算で売上高、営業利益、経常利益、当期純利益が前年同期を上回っていた。

また、株価の上昇などで業績が回復した証券会社や銀行も上位にランクされている。

業績連動報酬で1億円以上もらう人「増える」

三菱電機で1億円以上の役員報酬をもらった人が18人にものぼったのは、2014年3月期の純利益で7年ぶりの最高益の更新を見込むなど、好調な業績が背景にある。加えて、それに連動する「業績連動報酬」が底上げに寄与したとみられている。

東京商工リサーチによると、14年3月期に1億円以上の役員報酬をもらった361人の総額は665億円で、前年と比べて157億円も増えた。

その内訳は、基本報酬が370億円(前年比56億増)、賞与が119億円(26億円増)、退職慰労金(引当金繰入額含む)が91億円(52億円増)、ストックオプションが50億円(5億円増)だった。

業績連動報酬は25億円で、前年の9億円から16億円も増えた。同社は、「業績連動なので、業績が上がればプラスに働きます。(もらう人や金額が)増えることになります」と話す。

ただ、「役員報酬は賞与などでも増えますから、必ずしも『業績連動報酬だから増える』とはいえません」ともいう。業績連動報酬の場合、たとえば業績不振の事業はプラスに評価されない。そのため、責任を明確化する意味から賞与と区別して、業績連動報酬を取り入れる企業はある。

東京商工リサーチは、「基本報酬を主体とした報酬体系に変化はないが、一部で業績に連動した報酬体系に移行しつつあることもうかがえる」とし、今後、業績連動報酬を導入する企業が増えるとみている。