データサイエンティストが高給取りな理由
彼らの仕事は実に厳しい
画家や先生、警察官を職業にするのは楽しいことかもしれない。しかしながら給料にこだわるのであれば、データサイエンス以上のものはなかなかない。
この国の給与平均値は$740,589だ。CEOならもっともらうだろうが、残りの99.999%の人間にとって、データサイエンティスト以上に稼いでいるものはほぼいない。Indeed.comによれば、彼らの給与の全国的平均は、その他の仕事に付いている人たちの113%になるという。
データサイエンスというと無味乾燥な仕事のように聞こえるが、多くの給与に見合うだけの働きをする彼らの仕事はそのようなものではない。データサイエンスとは統計、数学、プログラミングをマスターし、業務知識とその本能で企業の経営陣の意思決定のための見解を導き出す存在である。
もちろんの事ながら、彼らデータサイエンティストの中でも有能なものは非常に少数派だ。
データは金なり
Indeed.comによると、今日の平均的なデータサイエンティストの年収は$123,000だ。しかしこれは「今日」の話であって、2012年以来ビジネスにおけるデータの関心が高まるにつて、彼らの収入は増加の傾向にある。
これはGartnerがビッグデータの活用についてレポートで取り上げられたように、企業が自分たちが貯めこんだデータをどうするかという事に起因するフラストレーションを反映するものである。「ビッグデータにおける最大の挑戦とは何か」という問いに対して、返ってくる答えは多かれ少なかれ「これをどうしていいのか分からない」といった類のものだ。
他意はない、ただこういった傾向はひどくなるばかりだ。世界の情報量の90%はここ2年で作り出されたものであり、企業が保持するのデータの80%は構造化されていないという事実は、何十年もの間、整理されていないデータがDBに溜まり続けたという事を意味する。こういった背景もあり、「ビジネスインテリジェンス」のツールやエンタープライズデータウェアハウスや、その他旧来のデータ分析システムが出てきた。
現在のデータはこれまでとは異なるツールおよび、データサイエンティストを必要としている。
非常に難しいその業務
データサイエンティストが多くの給料をもらっているのは驚くことではない。彼らの業務がスキルの組み合わせを必要とすることを考えれば、こういった人材を見つけることは極めて難しいことだ。「データサイエンティストとはカルフォルニアに住んでるデータアナリストのことだ」という否定できないジョークもあるが、データサイエンスは虚業ではない。そして非常にタフな仕事である。
その理由に、3つの異なった分野においてエキスパートでなければならないという事が挙げられる。
ミッチェル・サンダースが取り上げたように、出来るデータサイエンティストは銀行業・小売業等、対象とする業界特有の知識と、数学/統計学、そしてプログラミングスキルを兼ね備えている。これら3つのうち一つでもカバーされていれば十分だと考えている企業は多いが、それではあまりに多くのことを見落としているといえる。事実、あまりに多くの企業が、自社が抱えているデータから有用な情報を掘り起こすに足るだけの業界知識を持っているスタッフは既に居ると考えている。
私がGartnerのアナリスト、スヴェトラーナ・シューラーの「企業は自分の足元をよく見るべきだ」の言葉に昔から賛成なのは、これが理由だ。彼女によると、企業は既に「自社のデータについてどこの馬の骨とも分からないデータサイエンティストより、うちの社員の方が熟知している」(あるいは彼女がまた言うように、「Hadoopを習得するのは業界を熟知するより容易だ」)と考えているということだ。
サンダースは、こう言った流れは危険だが致命的ではないと強調する。
大量のデータの規範的な予測モデリングための相関関係の理解、多変量解析、そしてあらゆる角度からのデータの解釈は、情報から価値を掘り出すための第一歩を踏み出す為に、必要なバックボーンとなる知識である。もしこれを持たないなら、あらゆる収集されたデータやそのプレゼンテーションは意味がないものだ。
幾つかの企業はデータサイエンティストとデータアナリストとのギャップは埋められると称している。しかし現実はどうだろう。データサイエンティストはハードな職業であり、故に彼らは高い給料をもらっている。
結局は人間の勘なのか?
山のようなデータから意味のあることを掘り当てる難しさは理解してもらえると思うが、それでもFourtune Knowledge Groupが明らかにしたように、データからの有用な情報の多くは分析ではなく直感によって発見されるという事は、データサイエンティストにとって苛立たしいことだと思う。調査によると、720のビジネスリーダー達のうち、62%は自分の直感を信じると答え、61%は直感が分析を上回ることは殆ど無いと答えている。
言い換えれば、彼らは企業が直面する難題に対し、即座に使える現場の知恵に頼っているのだ。
しかしこのようである必要はない。本気で$123,000もの給料を稼ぎたいデータサイエンティストは、統計・数学、コーディングでの、より「ソフト寄り」な本能と経験が支配する世界に適応する必要がある。しかしこれが出来るものは難題を解決できるのみならず、彼のアドバイスに経営幹部連もが耳を傾けるのである。
トップ画像提供:AMC’s Breaking Bad
Matt Asay
[原文]