現時点での1位はマリナーズ時代のイチロー

 楽天からポスティングされた田中将大投手(25)の契約は、とんでもないものになりそうだ。ヤンキース、ドジャース、カブス、ダイヤモンドバックスなどを中心に激しいマネーゲームが繰り広げられている模様で、米国内では総額2億ドル(約210億円)に達するとの声まで出始めた。日本の一部報道でも、年平均の額は日本人歴代最高となる2000万ドル(約21億円)超えが確実という情報も出ている。それでは、日本人選手は過去にどれほどの金額を手にしてきたのか。ここでは、現時点での年俸歴代ベスト7を振り返りたい。(※所属は当時。金額は米情報サイト「BASEBALL-REFERENCE.COM」を参照)

【1】イチロー(マリナーズ) 1800万ドル(2009〜2011年)
 日本が世界に誇る安打製造器は、4年契約の最終年となった2007年の7月にシーズン終了を待たずに契約を更新。2004年にMLB記録を更新するシーズン262安打を放ったチームの「顔」に対するマリナーズのアプローチは早かった。2009〜2011年の年俸は1800万ドル。現在のレートに当てはめれば、約19億円に達する巨額の年俸であり、日本史上最高のプレーヤーは、契約額でもトップの座に躍り出た。

【2】黒田博樹(ヤンキース) 1600万ドル(2014年)
 昨年は名門球団で実質のエースとして活躍。FAとなった38歳のベテランに対して、ヤンキースはシーズン終了直後からブライアン・キャッシュマンGMが「彼はうちのエース。戻ってきてほしい」とラブコールを送るなど、残留を熱望した。1410万ドル(約14億8000万円)でのクオリファイングオファーは拒否したが、12月上旬に昨年より100万ドル(約1億500万円)上乗せした1600万ドル(約17億円)でサイン。悲願の世界一へ向けて、今季もフル回転が求められる。

【3】福留孝介(カブス) 1450万ドル(2011年)
 2007年オフにFAでカブスに入団。4年総額4800万ドルの好待遇だったが、1年目の年俸が抑えられたため、2011年は1450万ドルに達した。もっとも、この年は7月にプレーオフ進出の可能性を残していたインディアンスへと移籍。通算打率2割6分2厘、8本塁打、35打点と年俸分の働きをしたとは言えず、FAとなったオフには、年俸を100万ドルまで下げてホワイトソックスと契約した。

【4】松井秀喜(ヤンキース) 1300万ドル(2006〜2009年)
 2003年に巨人からFAで加入したスラッガーは、3年連続で100打点以上を記録するなど実力を証明。2005年に3年契約が切れ、残留交渉は難航したものの、4年総額5200万ドルで合意に達した。延長初年度の2006年に左手首骨折のアクシデントに見舞われたが、2009年にはワールドシリーズMVPに輝くなど世界一に貢献。両膝の痛みにも苦しみ続けたが、名門球団で存在感を発揮した。

メジャーで実績のない田中の年俸は?

【5】ダルビッシュ有(レンジャーズ) 1100万ドル(2017年)
 渡米前から日本史上最高の右腕と言われ、2011年オフに旧ポスティングシステム(入札制度)でのメジャー移籍を表明。史上最高額の5170万ドルの入札金で交渉権を落札したレンジャーズと6年総額5600万ドル+出来高400万ドルで契約した。年俸は1年目の2012年が550万ドルに抑えられており、6年目の2017年には1100万ドルとなる予定。ただ、5年目までにサイ・ヤング賞投票で2度一定の結果を残すとFAとなる条項が盛り込まれている。すでにメジャーを代表する右腕になった男については、確かに年俸1100万ドルでも安く感じる。

【6】松坂大輔(レッドソックス) 1033万3333ドル(2011年)
 西武で無敵を誇った右腕は2006年オフに旧ポスティングシステムでレッドソックスに移籍。落札額5111万1111ドル11セントと6年総額5200万ドルの契約で、元祖「1億ドルの男」として海を渡った。ダルビッシュと同じように1年目の2007年は年俸633万3333ドルと金額が抑えられ、2011年に1033万3333ドルに。ただ、5月に右肘の痛みを訴え、6月に靱帯再建手術(通称トミージョン手術)を受けた。最も年俸が高かった年に手術を受けるという皮肉な結果だった。

【7】野茂英雄(ドジャース) 900万ドル(2004年)
 1990年に渡米し、日本人メジャーリーガーの道を切り拓いたレジェンドは、2002年から総額1375万ドルの2年契約で1998年以来となるドジャース復帰を果たした。16勝6敗、16勝13敗と2年連続で好結果を残し、球団側が契約に含まれていた契約延長オプションを行使した。その額は自身最高となる900万ドル。肩の状態が悪く、4勝11敗と結果は残せなかったが、2度目のドジャース在籍で再び強烈な印象を残した。

 8位は川上憲伸の833万3666ドル(2009年=ブレーブス)、9位は松井稼頭央の803万3333ドル(2006年=メッツ)と鳴り物入りでメジャー移籍を果たした2人が並ぶ。ともに最初の契約で手にした額だが、期待に十分に応える活躍は出来なかった。一方で、800万ドルで10位の佐々木主浩(マリナーズ)はメジャー4年目の2003年に自己最高年俸をゲット。だが、高年俸を実力で勝ち取りながら、直後に負傷に苦しんで10セーブに終わり、翌2004年に日本球界に復帰している。

 このランキングを見ても、メジャーで実績のない田中の年俸が2000万ドルに達することになれば、それは極めて異例だと言える。メディアやチームメートが見る目も厳しくなるだけに、重圧もかかるだろう。一方で、田中が強い精神力でそのプレッシャーを力に変えることにも期待したい。いずれにせよ、田中の契約が最終的にどれほどの額で決着するのか注目だ。