アイドルアニメがたくさんある時代に、ゴシップと隣合わせのアイドル観を背負って切り込む『Wake Up, Girls!』。民謡好きな片山実波ちゃんが好みです。

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今、日本はアイドル戦国時代。目指せ追いつけ、AKB48。
同時に、アイドルアニメも戦国時代です。
『THE IDOLM@STER』に『ラブライブ』、『アイカツ!』や『プリティーリズム』。大御所作品ぞろいです。

そんな中、『Wake Up,Girls!』の放映がはじまりました。
監督はヤマカンこと山本寛。『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンディングのダンスは話題になりました。
先に見ていた人からはこう言われました。
「見る順番的には、映画版が先」
劇場版とTV版が、同時公開という珍しい作品です。

映画版は上映館が限られているので、ニコニコ動画のタイムシフトで800円払って見て、それから一話を見ました。「(注・タイムシフト試聴できるのは2014年1月18日(土)までです)」
こんだけアイドルアニメある中で、何をやるのか?

劇場版の話からしていきます。
舞台は仙台の冴えない芸能事務所。
I1-clubという超売れっ子アイドルをテレビで見て、社長が金のためにアイドルグループを作ることを思いつきます。駆り出されるのは、頼りなさげなマネージャーの松田耕平。

アイドルの話で、いきなりお金か。まあ、大事だけどさ。
オーディションに来たヒロイン達は、メイド喫茶で働くアイドル好きの明るい子、和菓子屋の内気な娘さん、のど自慢で賞を取った老人と仲の良い民謡好きなどなど、バラバラ。
みんな微妙にまだ垢抜けていないのが、共通点でしょうか。

ところが、社長は突然のお金を持ち逃げ。残されたのは溜まった請求書の山。
冬のデビューライブでは金欠で衣装がないため、制服での登壇。ほとんど人が見ていないステージです。これが最初ですが、最後かもしれない。
ただ、少女たちは、やり遂げたいと願い、力いっぱいの歌とダンスが披露しました。
これが、劇場版のクライマックス。

さて、問題はここから。
ダンスは激しいため、どうしてもスカートがめくれあがってしまいます。
パンチラどころかパンモロでした。
真っ先に感じたのは「誰かが彼女達のパンチラシーン撮って、投稿したらお宝になっちゃうんじゃ?」ということ。
きれいなダンスは見事なんですが、どうしてもパンツに意識がいってしまうよこれ。

実は映画版でここまでの流れを見ていれば、ちゃんとわかるんです。
私たちは別に見えたってかまわない、全力でやり遂げたい、腹くくろうよ、という思いが詰まっている。熱意と覚悟のパンチラなんだと。中盤のブランコのシーンでひそかに暗示もされています。
けれども、何も知らない観客が、この瞬間だけ見ていたらどうだろう。

TV版ではもう結成して、制服ライブが終わった所からで、完全に続編です。
映画のダンスシーンは、撮影した思い出として一話の後半に入っています。

TV版からだとなぜパンチラがわざわざ映像に入るのかわからない。
ただ見えていた「事実」はある。
ゴシップ的な生々しさ、嫌な予感が、どうしても見え隠れしてしまう。

劇場版・TV版通じて、アイドルの裏の部分が盛り込まれています。
映画ではオーディションに来た子達に、社長は「あなたたち、処女?」と聞きます。
元々I1-clubのセンターでWake Up, Girlsに加入することになった島田真夢が、仙台では「都落ち」「男関係」と噂されていました。
ネットの掲示板は彼女のことを「I-1の癌」「クソビッチ」と叩いています。
TV版一話後半に出てくるマネージメントの人は、訪れるなり白ビキニ手にして言います。「とりあえずこれ着てみようか」。

彼女達は、輝くために成長しようとしている。
同時に、アイドルは商品である、という現実がある。
このアニメ、他のアイドルアニメの「ご法度」に踏み込んで、暴れようとしている。

はたしてどこまで他のアイドルアニメと一線を画すことができるのか。
もうここまで来たら、キラキラとギラギラの両方を持ち合わせて、突き進んでいただきたい。

映画を見ていないとTV版が存分に楽しめない作りなのは、どうしても気になります。
劇場版はどのように彼女達が頑張ってきて、金欠や苦労を乗り越え、初ライブまで気持ちが盛り上がったのか、アイドルを目指したきっかけなど、スタートががっちり描写されます。
テレビ版はその後からなので、パンチラの真意も含め一話でキャラを把握しづらい。
お金儲けの材料扱いされるアイドルの描かれ方は、映画版から積み重なっているものだから切り離せない。I1-clubと真夢の関係性も劇場版の描写ありきです。

ここまで直接的につながるのなら、映画自体をテレビ3話くらいにして、そこでダンスシーン見せたら、キャラへの感情移入がより深まりやすかったように感じます。
流れを知っているか否かで、彼女達の言動ががらっと変わってくる。お金を払って映画を見てから……というのはちょっとハードルが高い。
今後の展開で、あえて分けた意味が見えてくることに期待したいところです。

ところで、今後アイドル衣装になっていくとは思うんですが、制服好きなので制服ダンスも続けてもらえませんかね……?

『Wake Up, Girls! 』BD 劇場版
『Wake Up, Girls! 』BD 一巻

(たまごまご)