ディズニー映画「プレーンズ」は大ヒット上映中!(画像は公式ホームページのもの)(C)2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

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私も最初はピクサーの作品だと思っていました。
だってあの「カーズ」のように、フロントガラスが目になっていて、飛行機が主人公のお話だし。
そしてタイトルも「カーズ」(Cars=車たち)と同様に「プレーンズ」(Planes=飛行機たち)なんですから。

でも違うんです。昨年の12月21日に公開された「プレーンズ」はディズニー映画です。
なんともややこしい…と思う方も多いでしょうから、
映画「プレーンズ」の内容をレビューするのではなく、
ピクサー映画とディズニー映画について詳しく説明していきましょう。

まず、製作しているスタジオが違います

たとえば、ジブリ映画=スタジオジブリが製作ということと同じで、製作しているスタジオが違うのです。
ディズニー映画=ウォルト・ディズニー・スタジオ製作
ピクサー映画=ピクサー・アニメーション・スタジオ製作
です。
つまり、「カーズ」の絵に似ていてもディズニーのスタジオで作ればディズニー映画ということです。
もちろん所在地も違いまして、ディズニー・スタジオはロス、ピクサーはサンフランシスコ(カナダもありましたけど)。

映画を知っている人には当然ですが、実は知られていないことが多いです。

例えば、CG映画で言うと
「シュガー・ラッシュ」「塔の上のラプンツェル」はディズニー映画。
「メリダとおそろしの森」「モンスターズ・ユニバーシティ」はピクサー映画。

ちなみに「マダガスカル」や「シュレック」はドリームワークスですし、
「怪盗グルーの月泥棒」「アイスエイジ」はユニバーサルスタジオです。
フルCGアニメ映画=ピクサー映画ではないのです。

ただし、クリエイティブ責任者は同じです。

ここがディズニー映画とピクサー映画の垣根をなくした要因といえるかもしれません。
ディズニーは2006年5月にピクサーを完全子会社にしたのです。
つまりディズニーがピクサーを買収したわけです。
そのとき「トイ・ストーリー」などを監督した、ピクサーのジョン・ラセターが
ディズニー・スタジオのクリエイティブ責任者になったのです。

もちろん、彼は現在もディズニー映画とピクサー映画の両方のクリエイティブ責任者ですから
「プレーンズ」に関してもジョン・ラセターがクリエイティブチェックをしています。
なんといっても、ジョン・ラセターは「カーズ」の監督ですからね。
「プレーンズ」がディズニー映画であっても、ピクサー映画であっても、
スタッフや監督に違いはあっても、ラセターの監修は変わりません。

ちなみに、ラセターの発言は絶対ですから、
両方のスタジオの責任者になった当時、すでに製作が進んでいた、ディズニー映画の続編をいくつかストップさせたほどです。
あの頃、クラシック映画の続編が乱発していたので、個人的には安心しました。

このややこしい騒動には決裂問題が大きくかかわります。

もともとディズニーとピクサーは「カーズ」の公開を最後に提携を解消するはずでした。
そのため、ディズニーはピクサーに対向するべく、CGアニメ映画を公開するべく、
「ライアンを探せ!」や「チキン・リトル」を世に送り出します。
さらにはピクサー作品の続編に関しても、ディズニー映画として製作するはずだったのですが、
新しいCEOボブ・アイガーによって仲直りとなったのです。

なのでディズニースタジオ(ディズニートゥーンスタジオ)のCGアニメもあるし、ピクサーのCGアニメもある、
という状態を生み出したのです。

なにはともあれ、この買収によって一番良かったなと思ったのは
「トイ・ストーリー3」がピクサーによって製作されたことです。
あのまま決裂していたら、ディズニー映画として公開されていたでしょう。

それは内容の出来ではなく、この事件によって企画をやり直して時間がかかり、
主人公が大人になったストーリーを描くことにした、ということです
すべてが丸く収まったと思いましたね。

最後に、一番手っ取り早い見分け方を教えます。

映画のタイトルロゴに

Disney・PIXAR

と書いてあれば、ピクサー作品です。「プレーンズ」は

Disney

としか書いていません。だからディズニー映画なんですよ。これが一番分かりやすい説明ですね。
(小林美姫)