岡見のミットを持つエリック・デルフィエロ。プレッシャーを与えられるようになるためのトレーニングが続く (C)MMAPLANET

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9月4日(水・現地時間)、UFN28でホナウド・ジャカレと対戦する岡見勇信が、キャンプ地に選んだのはアライアンスMMAだった。

このサンディエゴのトップMMAジムを統べるのはエリック・デルフィエロ。MMA創世記から、このスポーツに関わってきた名コーチは、岡見のセコンドも務めるという。そのデルフィエロ・ヘッドコーチにジャカレ戦で岡見が勝利するには、何が必要か、どんな変化が求められるかを尋ねた。

――エリック、岡見選手からアライアンスMMAでジャカレ戦のキャンプを張りたいという連絡が来たとき、どんな風に思いましたか。

「ユーシンは素晴らしい人間で、素晴らしいファイターだから私自身、彼のファンだった。なんせ、ミドル級で世界3位のファイターだよ。彼と一緒に練習できることに、とても興奮した。彼のような才能あるファイターとキャンプを張ることは楽しくなるって、素直に感じたよ。そして、ユーシンはまず、フィル・デイビスがリョート・マチダ戦のためにキャンプに入っている時、同じサウスポーとして凄くフィルの助けになってくれたんだ」

――岡見選手がジャカレと戦うことで、そのファイトスタイルに何かアジャストが必要だったのでしょうか。

「ユーシンに必要なのは、もう少しアグレッシブになることだった。もう少し、プレッシャーを掛ける戦い方を身に付けさせたかった。テイクダウンディフェンスに関して、ユーシンは天下一品だ。その守備能力の高さは疑いようがない。だからこそ、攻撃面でもう少し積極的な動きが必要だった」

――試合前ですし、戦術面などを詳しく語ることはできないと思いますが、何かヒントを貰うことは可能でしょうか。

「ジャカレは素晴らしい柔術家で、グラップリングの強さは半端ない。当然、寝技にはいきたくはない。寝技になるなら、テイクダウンをしてトップを取った時だ。それでも、寝技でコントロールしようなんて、ジャカレを相手には思わない。ユーシンがボクシングで、プレッシャーを与えること。KOできたら最高だね」

――ブラジルでジャカレと戦うことについて、どのように思っていますか。先ほど、話に出たフィル・デイビスはリョートの母国で勝利を収めています。

「タフだよ。ブラジルのファンは、このスポーツが大好きで、ブラジル人ファイターを愛している。そんな状況で、判定勝ちするのは生易しいものじゃない。それにはアグレッシブに戦い、ラウンドをコントロールしなければならない。フィニッシュできれば一番だけどね。ただし、それは簡単でない。ブラジル人ファンの声援は、ファイターにもの凄いプレッシャーを与えるんだ」

――フィルがマチダに判定勝ちをしたのは、テイクダウンを武器にラウンドをコントロールしたからです。そして、テイクダウンはポイントゲットにかなり有効な技です。スタンドで戦いたい岡見選手が、ポイントを取るにはどのような戦い方が必要になりますか。

「パンチの量を増やし、有効打を増やす。プレッシャーを掛けて、後に下がらせる。単発のパンチではなくて、コンビネーションを使い、前に出る。それがジェネラルシップとなり、ラウンドを取ることに通じる」

――それは空振りの数を増やしても、手数で勝つという方法論でしょうか。

「まずは当てること。特にコンビネーションの最初のパンチは、しっかりと届かせて、そこからプレッシャーを与える。そのままコンビネーションにつなげ、その攻撃を続けること。ジャカレは前方からプレッシャーを与えられることを嫌がる。ジャカレをこちらの思惑通りに動かすことで、ラウンドを支配するんだ。

ジャカレはMMAを戦う柔術家だ。ただし、MMAファイターとしての成長はとても早い。凄くアグレッシブだから、彼の積極的な部分を消すんだ。ユーシンがプレッシャーを与えることで、勝負の行方はこちらに傾く。ユーシンは、ミドル級の強豪ともう何戦も戦ってきた。ジャカレよりも経験がある。その経験が彼を助け、KOでも、TKOでも、判定でもユーシンの勝ちに繋がることを望んでいる」