雇用規制は、緩和と強化の両方が必要。/川口 雅裕
「講師の心.com」(http://www.koushinococoro.com/)に寄稿したコラムを転載しました。

アベノミクスにおける三本目の矢、成長戦略において、雇用規制の緩和が議論されているのは歓迎すべきことです。企業を元気にするには、金融や税制面での支援、企業活動の自由を縛るような諸々の規制の見直しだけでは不十分で、日本の人材力を活かすための改革が必要だからです。しかし今のところ、「解雇規制の緩和」ばかりに焦点が当たっており、金銭解決による解雇を認めてしまえば失業者が増える、雇用不安が増すといった反対論が噴出しています。このままいけば、解雇規制だけではなく、雇用に関する改革全体が先送りされるのではないかと危惧しますし、それは成長のチャンスを逃がすことにもつながるだろうと考えます。

「解雇規制の緩和」について言えば、金銭解決による解雇を認めるのは、そう悪いことばかりではありません。まず、理不尽な処遇や扱いを行って、むりやり退職に追い込むような例は減るでしょう。現在、会社は厳しい要件をクリアしない限り、社員を解雇できないので、自分の意思で退職してもらうしかなく、あの手この手で退職を迫るようなケースもあります。しかし、会社だってそれを好き好んでやっているわけではないので、金銭解決の道ができれば、陰湿な辞めさせ方はしなくなりますし、従業員側もお金をもらって辞めることができます。

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