会計からバランスシートが消える!  利益が出ても資本は減少!? 黒字企業を待ち受ける赤字転落の洗礼 国際会計基準(IFRS)の衝撃 第5弾

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 利益はでているのに、純資産は減ってしまう。本来はありえないことが起こり始めている。

 利益のうち、株主に支払った配当金などを除いた残りは、企業の内部に留保され、その金額だけ純資産は増加する。利益が伸び、それに伴い純資産も増加し財務内容も充実する。最も自然な企業の成長のパターンだ。

 しかし、以下の住友化学(4005)の例を見てほしい。

 図中赤枠で示したが、前期末(23年3月期)の純資産は7588億円、今期(24年3月期)の利益は55億円だ。

国際基準の洗礼、見かけの利益だけでは純資産は減少する

 本来なら今期末(24年3月期)の純資産は内部留保された利益の分、増えているはずだ。しかし、実際には7209億円と、379億円、なんと5%近くも減ってしまっている。

 なぜか?

 これを単純化した図で示すと、次のようになる。

 住友化学は当期利益はプラス、つまり55億円の黒字だ。

 しかし、その一方でこの1年間に、株価の下落による保有株式の評価損や、円高に伴う海外資産などの価値が下落が、多額発生してしまった。

評価損は純資産を直撃する

 こうした評価損は当期の損益には反映されないが、純資産に対してはその発生額を反映させなければならない。すなわち、純資産はその分減少する。

 こうした評価損をも考慮した利益を国際会計基準(IFRS)では「包括利益」という。

 包括利益は、国際会計基準では当期利益と並んで最も重要視される利益概念だ。

 では、住友化学の評価損なども含めた損益はどのようになっているのだろうか。

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