レンジャーズ移籍が決まったダルビッシュ。ポスティング制度ができてからメジャーへの道は大きく開いたが、まだ問題は残っている

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 現地時間18日、ダルビッシュ有(25歳)のテキサス・レンジャーズ移籍が確定した。アメリカメディアによると年俸は、6年総額約6000万ドル(約45億円)。ポスティングシステムの落札額5170万ドル(約38億円)と合わせると、総額90億円を超える超大型契約となった。

 これで今季、日本プロ野球からメジャーリーグに移籍することが確定した選手は、ダルビッシュのほかに和田毅(ボルティモア・オリオールズ)、チェン・ウェイン(ボルティモア・オリオールズ)、岩隈久志(シアトル・マリナーズ)、青木宣親(ミルウォーキー・ブリュワーズ)、川崎宗則(シアトル・マリナーズ)となった。

 一方で中島博之(西武)は、ポスティング制度でニューヨーク・ヤンキースに落札されたものの合意には至らなかった。昨年の岩隈と同様のケースだけに、球界ではあらためてポスティング制度の見直しを求める声が高まっているが、ある球界関係者は「この問題の本質は、ポスティング制度自体というよりも、代理人制度に問題がある」と語る。

「中島には金銭面や待遇面でこれといった要求はなく、それこそどんな条件でもいいからメジャーに行きたかったというんだ。実際、彼は『ジーターやAロッドの控えを経験できるのは貴重だ』とも話していた。だけど最終的には『次のオフまで待てば、もっといい契約ができる。自分を安売りするな』と代理人に言いくるめられた格好だ」

 つまり、安売りしたくなかったのは、中島自身よりも代理人だったというのが真相のようだ。

「中島もヤンキースの関係者とは大した話もしていないし、そもそも代理人とですら、どこまでコミュニケーションが取れていたのか怪しい。中島が交渉期限の前日に慌ててニューヨークに行ったものの、現地到着直後に交渉打ち切りが告げられたなんて、代理人とろくにコミュニケーションが取れていなかった証拠だろう」(スポーツ紙記者)

 現在、日本球界からメジャーへ移籍する場合、代理人の存在は必須である。もちろん、交渉のプロを使うのが最善の方法であるが、「交渉を任せすぎ」という声もある。

「言葉がわからないし、知識もないから任せきりにならざるを得ないんだけど、それだと代理人の思うがまま。結局、代理人は自分の抱える選手がどんなに入団を希望しようとも、自分のカネにならなければクビを縦に振らない。ヒドイのになると、球団が提示した条件を正確に伝えなかったり、ねじ曲げて伝える輩(やから)も少なくない」(スポーツライター)

 今回、ダルビッシュの代理人を務めたのはアメリカスポーツ界の大物エージェント、アーン・テレム氏と、日本における代理人制度の草分け的存在である団野村氏。万全の体制で臨んだ結果ともいえるが、過去には桑田真澄のように、代理人をつけず自ら交渉を行ないピッツバーグ・パイレーツに移籍した例もある。移籍交渉において最重要なのは、あくまで選手本人の意思。ポスティング制度はあくまで交渉権獲得のためのものであり、今後議論されるべきはそこから先にある。

(写真/益田佑一)

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