公共機関のゾンビキャンペーンブームの先陣を切ったCDCは、既に半歩先に進んでいてオリジナルのアメコミを公開していました。巻末にはCDC謹製のゾンビ対策チェックリスト付き。内容のお役立ち度もともかく、ゾンビたちの面構えが素敵すぎる

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ゾンビ(zombie)という単語は、もはやモンスターの名前だけを意味するものではなくなった。映画やドラマやマンガからじわじわと浸透していった結果、「ゾンビ」はモノのたとえや一つの文化として一般のニュースにも出てくるようになったのだ。そんなゾンビが現実にもにじみ出つつある2011年に、特に印象深かったゾンビのニュースを10個ピックアップしてご紹介します。

1. CDCの公式ゾンビ対策をきっかけに公共機関でゾンビキャンペーンのブーム到来
映画やドラマで伝染病が出てきたらほぼ間違いなく登場する、感染症研究の世界的権威CDC。その責任者が5月にゾンビ対策を発表して、ついにアメリカが本気を出したと話題になった。以前にレビューで紹介したとおり、災害対策の一環として始めたこのキャンペーンはサーバがダウンするほどの大ブレイク。これを見て他の公共機関も後に続き、今年10月にオハイオ州の救急隊がゾンビの感染を想定した災害訓練を実施、カンザス州も10月を「ゾンビ対策月間」として州の公式サイトに特集ページを作成して、プロモーションビデオまで公開している。

2. 公共機関にゾンビ対策ができてるか質問するブームも到来
一方で公共機関に「ゾンビの対策、できてますか?」と質問するゾンビファンも続出。質問を受けた公共機関のうち、イギリスのレスター市では「ゾンビの対策はできていません」と真摯に公式回答。その誠意に感動したのか、庁舎前に200人ものゾンビが集結してニュースになった。

3. ドラマ「ウォーキング・デッド」のシーズン2が大ヒット、シーズン3の制作も決定。
日本だと考えにくいが、アメリカではゾンビの連続ドラマがあり、しかも大ヒットしている。2010年に放映を開始した「ウォーキング・デッド」は初回から530万人の視聴者数を記録してケーブルテレビの歴代記録を更新。さらに今年10月から始まったシーズン2でも730万人を記録して、シーズン3の制作が決定した。シーズン1を観たところ、心理的にも肉体的にも人間の内側がはみ出るシーンが満載で、ゾンビファンも納得の出来。日本でも原作のアメコミの第一巻が10月にリリースされた他、ドラマのシーズン1が2012年2月にリリース予定。ヒロイン役のサラ・ウェイン・キャリーズさんにも先日インタビューしてきたので近日掲載予定です。

4. 「DEAD ISLAND デッドアイランド」のトレイラーが「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」金賞受賞
日本からもJR九州やNTTドコモ、東芝などの有名企業のCMが受賞していた「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」(旧称:カンヌ国際広告祭)。この栄誉ある祭典で、ゾンビゲーム「DEAD ISLAND デッドアイランド」のトレイラーが金賞を受賞した。リゾートに来た家族がゾンビに襲われて互いを喪失していく様子をピアノと弦楽器の落ち着いたBGMで哀愁たっぷりに描いており、ゾンビが持つ叙情性を最大限に引き出した名作になっている。

5. メキシコの”ゾンビウォーク”で10000ゾンビが集合。ギネス更新?
様々な分野の世界一を認定するギネス世界記録には、ゾンビ関係の記録もある。たとえば”同時に集まったゾンビの数”。これまでの記録は2010年にアメリカのニュージャージー州で開催された”ゾンビウォーク”で集まった4093ゾンビだったが、今年の11月にメキシコのメキシコシティーで開催された”ゾンビウォーク”では二倍以上の約10000ゾンビを集めたとして現在認定委員に申請中。ちなみに他にも”ゾンビメイクでジェットコースターに乗った人数”という記録も更新されたらしい。

ちなみに”ゾンビウォーク”とはゾンビメイクをした人が集まって街中を練り歩くゾンビオンリーの仮装行列。海外、特にアメリカでは若者から家族連れやお年寄りまで幅広く人気を集めていて、毎月どこかの州でやっているほど。”zombiewalk”で調べると若い男女から家族連れまで血まみれで楽しそうに歩いている映像がたくさんあります。

6. 日本でもゾンビウォーク開催
”ゾンビウォーク”はこれまで日本では開催されていなかったが、ついに今年の10月に「Zombie Walk 2011 in SAPPORO」として札幌で開催。150人のゾンビが集まって札幌大通公園を練り歩いたと報道された。また ustream にイベント中継の録画もアップされていて、青白い顔色で血みどろの人たちに向かって主催者が「ゾンビのテンションをあげていきましょう」「マナーを守って楽しくゾンビを」と注意事項を伝える開会式など、心和む光景が楽しめる。

7. 放射能汚染をネタにしたゾンビ映画が制作開始
2011年の日本といえば、震災と放射能汚染は外せない。特に放射能汚染はアメリカでも「ゾンビ出てくるんじゃね」と話題になってCDCの記事のきっかけを作ったけど、台湾ではその設定を丸々活かしたゾンビ映画が制作中。「Zombie 108/Z-108棄城」という題名でインフルエンザウィルスが放射能汚染でゾンビウィルスになるという設定。ちなみに予告編を観る限りでは日本が出てくるのは設定だけで、舞台は台湾。いかつい男たちの口喧嘩や美女のお色気シーンがある正統派のゾンビ映画のようだった。

8. ゾンビ対策サービスの決定打、ゾンビ・ブート・キャンプがイギリスで開催
ゾンビもひっかけない丈夫なテント、釘や絆創膏など対ゾンビ用品が入ったボトルなど、世界中の物好きがしのぎを削るゾンビ対策市場に真打ちが登場した。その名も「ゾンビ・ブート・キャンプ」。グッズどころか実際のキャンプでトレーニングができるサービスで、ピストルからチェーンソウ、アサルトライフル、手榴弾などゾンビ映画でよく見る武器の使い方を学べる他、複数名のチームに分かれてゾンビが徘徊している倉庫にたどり着くミッションもあって、受講料は59ポンド(約7000円)。ちなみに「zombie boot camp」で調べていると、「対ゾンビのブートキャンプ」だけでなく、「ゾンビが参加するブートキャンプ」の英語記事もあった。読んでみると、富士急ハイランドの最恐戦慄迷宮のクルーが特訓している風景を紹介するもので、もしかすると日本はゾンビ先進国と思われてるかもしれない。

9. 道路標識に「この先ゾンビ」
日本でも高速道路等に設置されて「この先渋滞○キロ」等の交通情報が表示されている電光掲示板。アメリカでここに「zombie ahead(この先ゾンビ)」や「zombie outbreak(ゾンビ感染拡大中)」というゾンビ注意報が表示されてニュースになった。ただし残念ながら実際にゾンビが出たわけではなく誰かがいたずらで表示させているそうで、掲示板の管理人は「面白がっているのかもしれないけど、とても危険な行為だ」と怒っている。同様の事件は2010年だけでも6月にケンタッキー州北部、7月にコロラド州のデンバー市、8月にオハイオ州のダブリン市で発生しているが、いたずらした人がみんなゾンビ好きというわけではなくて、ハッキングしたはいいけど良い言葉が思い浮かばなかったので適当に書いているのだと思う。そう信じたい。

10. アリをゾンビにする新種の菌類
だいぶ前にサナダ虫を寄生させて痩せる寄生虫ダイエットというのをテレビで観たけど、痩せさせるどころか神経系を乗っ取ってゾンビにしてしまう寄生生物もいる。今年にブラジルの熱帯雨林で発見された新種の昆虫寄生菌は、感染したアリを操って成長や胞子のばらまきに都合の良いところまで移動させた後で殺す凶悪生物(関係ないけど元記事のナショナルジオグラフィックに「いわばゾンビと化す。」と書いてあって、これで通じるんだと感動してしまった)。ちなみに虫をゾンビ化するものは他にも、ゴキブリをゾンビにする蜂、芋虫をゾンビにするウィルスがいて、その仕組みについて科学者たちが研究を続けているとのこと。なんでそんなものを研究するかというと、害虫駆除に応用できるかもしれないからだそうで、これはもうゾンビ映画のフラグ。来年以降も期待が膨らむ。(tk_zombie)