横浜DeNAの村田修一に続いて、巨人はソフトバンクから杉内とホールトンも獲得しようとしている(杉内は残留の可能性も出てきたようだが)。「育てて勝つ」方針の清武さんがいなくなったせいもあってか、巨人は例年以上に他チームの主力選手を買いあさっている。金持ちの坊ちゃんが、あとからあとから新しいおもちゃをほしがるのとよく似ている。
こないだ買ってあげた藤井秀悟はどうしたの?MICHAELやグライシンガーはゴミ箱へポイしちゃったの?と聞きたくなる。





昔、巨人のコーチが「よそのチームでレギュラーと言っても、巨人に来れば一軍半ですよ」と嘯いたのを聞いたことがある。また、ライバルチームの主力選手を奪って塩漬けにするのも、ライバルの戦力ダウンになるから良いのだ、というフロントもいた。野球好きには絶対にできない発言だ。
まさか、今、そんな感覚の指導者はいないとは思うが、毎年たくさん移籍してくるから、一人ひとりに対する扱いがぞんざいになるような気がする。

何度も言うが、谷の使い方はあまりにも惜しい。他チームなら今頃2000本安打のテープを切っていることだろう。

引き抜きではなく、外国人だが、最近惜しいと思ったのが、去年のエドガー・ゴンザレス。今年、ボストン・レッドソックス=BOSに移籍して実力を見せつけたエイドリアン・ゴンザレスの兄貴で、一回り小さいが、顔はそっくりだ。エドガーは去年の終盤、いい活躍をしていた。守備も堅実でどこでも守れるし、慣れてくればしっかり打ちそうだと思ったのだが、エラーがきっかけで2軍落ちし、一年で解雇してしまった。性格もよかった。巨人に必要なのは、大砲ではなくこうした小回りのきく選手だと思うのだが。

巨人がFAで大物選手を獲得すること自体は、私は別にかまわないと思っている(他球団にもっと意地を見せてほしいとは思うが)。資本力において勝る球団が、派手な引き抜きをするのはストーブリーグの風物詩だ。
しかし、それならドラフトで有望な新人は、弱いチームに譲るか、せめて平等にくじ引きで獲得すべきだと思う。新人は優先的にとる、大物は引き抜く、では他チームが立ち入る隙がない。

さらに言えば、こうしてベテラン、新人のブランド選手を自由にとれるという環境が、巨人というチームをすっかり「スカウト下手」「育成下手」にしている。先日の『週刊ベースボール』12/12号の特集、「ドラフト、巨人の功罪」では、巨人がドラフトで、いかに多くの「スカ選手」を選択し続けたかを紹介していたが、スカウト陣のお粗末さはあきれるばかりだ。また、大物選手を獲得して腐らせる事例も多い。

これは生え抜き選手の例だが、90年代後半のある時期、巨人は槇原、桑田、斎藤と年俸1億円を超える選手がそろってファーム暮らしだったことがある。マスコミは、これを「不良資産」と騒いだが、巨人はそれに頓着せず、相変わらず引き抜き補強をやっていた。

本当の金持ちは、金のありがたみを知っているから、無駄遣いはせず、つつましいものだ。

巨人は草創期から球界一の大金持ちのくせに、いまだに成金のような金の使い方をしている。プロ野球の場合、金だけでなく、選手の出場機会や選手寿命まで浪費することになるから、これは球界全体の損失でもある。
ニューヨーク・ヤンキース=NYYが、中島裕之の対価として用意した金額を見ても、同じ金満球団だが、巨人とNYYでは商売の厳しさが違うと思う。

巨人はFAで取った選手を大事に使ってほしい。間違っても出場機会も保証できないのに大物選手を獲得しないでほしい(そういう意味では、今年はこれ以上外野手を取らないでほしい)。
おもちゃに埋もれて、なおも不満顔をしている馬鹿坊ちゃんみたいにならないでほしい。