30日のUEFA U-19欧州選手権決勝で、フランスがスペインに逆転勝利(2―1)をおさめ、2005年以来5年ぶりとなる通算6度目(FIFA主催の1954年以前を含めると7度目)の栄冠に輝いた。

 早くも18分に先制点を許したフランス。前半はスペインに完全にボールを支配された。レキップ紙によると、それがハーフタイムを機にすべて変わることになる。試合後、フランスのMFガエル・カクタ(チェルシー)は同紙に「ハーフタイムにみんなでよく話し合った。全員が発言した。僕らは仲がいいし、いつもはふざけ合っているけど、肝心なのは言うべきときに考えていることを口に出すということだ」と明かした。

 フランスとハーフタイム、といえば誰もが思い出すのがW杯のメキシコ戦。0―0で迎えたハーフタイムに指示を出した監督にアネルカが激高し、控え室には重苦しい雰囲気が流れた。選手間に意思疎通はなく、集中力を欠いて後半に2点を許してしまった試合だ。

 “偉大な先輩たち”とは違って、若き代表たちは勝つ意欲を失わず、冷静にゲームを分析し、チャンスをうかがった。後半にタフェル、ラカゼットとリヨンのFWを相次いで投入したスメレッキ監督の采配も当たり、形勢を逆転。相手のミスに乗じて試合をひっくり返した。監督は試合後、選手たちの「献身、執念、溌剌さ」を称えた。まさにW杯でのフル代表が見失ってしまった大事な要素と言えるだろう。

 トロフィーを渡したプラティニUEFA会長(元フランス代表主将)も満面の笑み。W杯でつぶされた面目を取り戻す思いだったはずだ。1年後はコロンビアで開かれるFIFA U-20ワールドカップが待っている。この次世代の若武者たちのおかげで、ようやくフランス代表の未来に明るい光が差してきた。