ペ・ドゥナ(撮影:野原誠治)
 1999年の女優デビュー後、2005年に公開された山下敦弘監督作品「リンダ リンダ リンダ」で話題を集めた女優、ペ・ドゥナ。シリアスな作品からコメディまで幅広くこなす演技派として活躍している。今回ペ・ドゥナは、映画「誰も知らない」で国内外数々の映画賞を獲得した是枝監督の最新作「空気人形」に主演。“代用品”として孤独な男と暮らす人形が、ある日突然心を持ってしまうという難役を熱演した。「以前より是枝監督のファンだった」と話すペ・ドゥナに、ヌードシーンに対する葛藤をどのように克服したか、印象に残っているシーンについて聞いた。

――作品を拝見して、映像美の中で動く“人形”の心が繊細で悲しくて、でも最後には暖かい気持ちにもなる、不思議な映画でした。監督から、この映画のオファーを受けた時の感想は?

ペ・ドゥナ:まず、是枝監督については「誰も知らない」を観て、素晴らしい映画だと思っていたので、オファーをいただけたことがとても嬉しかったです。後は、この“人形”という役柄も女優であればぜひ一度はやってみたい、挑戦する価値のあるキャラクターだと思いました。

――是枝監督とARATAさんが、「ペ・ドゥナさんの日本語の上達が早くて驚いた」とおっしゃっていました。どうやって勉強したのですか?

ペ・ドゥナ:現場にいた通訳の方に私の日本語を聞いてもらって、抑揚やアクセントを指摘してもらったんですね。その上で感情を入れて、セリフを発していたんですが結構間違った所がありまして、そうすると監督が走ってきて指摘してくれました(笑)。

――劇中にはヌードシーンや、男性と接するシーンもありましたが、自分の中で葛藤はあったのでしょうか?

ペ・ドゥナ:実は、20代の前半にもヌードシーンを撮ったことがあって、その時のほうがもっと葛藤が大きかったですね。その当時は、女優の自分と、一人の女性として自分が反する葛藤があったのですが、だんだん女優としての意識が強くなり、そういう気持ちは少なくなりました。もちろん、今回も辛くなかったというと嘘になりますが。

――その葛藤に女優としての気持ちが勝った?

ペ・ドゥナ:この映画で、初めて裸になるシーンを撮った時に、現場に行ってみたら監督をはじめ、全てのスタッフがとても緊張していたんですよ。だから、雰囲気も良くなくて、私は「皆は自分の事を心配してこんなに緊張してるんだ」と思ったから、逆に自分が緊張をほどいてあげようと思ったんですね。監督にモニターを見せてもらって、あえて冗談っぽく「あ、私の体ちょっと人形と違うけど、どうしましょうか?」とおどけていた思い出があります。私は、女優という仕事をしている限り、勇敢でなければならないと思っています。