ジョゼ・モウリーニョの電撃退団を受け、チェルシーの監督に就任したアブラム・グラントは、ロシア人オーナーのロマン・アブラモビッチによる采配への干渉を否定。「自らの責任でチームを率いる」と語り、チェルシー再建に自信を覗かせた。

 元イスラエル代表監督で、今夏チェルシーのスポーティング・ディレクターに就任していたグラントは、アブラモビッチと個人的な友人でもあり、その監督就任はチーム再建をロシア人オーナーの思惑通りに進めるための人事だとの声も聞こえてくる。しかしグラント本人は、采配における決断は自ら下すと語り、オーナーの介入についてはきっぱり否定した。

「采配の決断はすべて私が下す。試合の勝敗に関わらず、責任はすべて私が取る。ロマン・アブラモビッチの意向で、先発メンバーが決まるようなことは断じてない。采配の決定権はすべて私にある」

 さらに、チャンピオンズ・リーグ優勝監督の実績に加え、過激な言動が注目を集めた前任者とは違い、自らを「普通の人間」と語るグラントは、ピッチ上の結果のみでアピールしていくと語る。

「私は至って普通の男だ。“特別”な人間ではない。ただ、この世に同じ人間は2人いない。だから、ジョゼ・モウリーニョと自分を比べるつもりもないよ。アーセン・ベンゲルがアーセナルの監督に就任した時も、彼の名前を知っているものはほとんどいなかったはずだ。それに、私はこのチームを率いる自信がある。そうでなければ、監督を引き受けてはいない」

 グラントの監督就任が正式に発表されたにも関わらず、いまだ時期監督候補の話題がメディアを騒がせているなど、いまだ先の見えないチェルシーの監督人事。モウリーニョの退団については、ファンの抗議に加え、一部選手からも不満が噴出しており、グラントにとっては厳しい船出となった。監督としていまだ正式契約を交わしていないとも言われる52歳は、逆境の中、23日のマンチェスター・ユナイテッド戦を迎えることになる。