神戸で連続発砲の惨劇…出所直後の79歳元組員を逮捕、不動産関係者2人死傷に浮かぶ20年前の因縁
9月30日、神戸市中央区と兵庫区で、発砲事件が2件相次いだ。このうち、1カ所の中央区の現場で撃たれた58歳の赤田正行さんが死亡した。県警は兵庫区の現場付近で男を確保、殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。兵庫署の発表では、逮捕されたのは元六代目山口組佐藤組幹部だった亀谷直人(79)容疑者。県警は男が所持していた拳銃をすでに押収しており、事件に使われたものかどうかも調べている。
「兵庫県警によれば、まず、神戸市中央区坂口通で、赤田さんが拳銃のようなものを発砲されました。腹部を撃たれたとみられ、心肺停止状態で病院に搬送された後、死亡が確認されています。それから約20分後、約5km西の兵庫区荒田町で男性が背中を撃たれた、と警察官から消防に通報がありました。男性は50代とみられ幸い、意識はあるといいます。
亀谷容疑者は現場付近にいたようで、警察官からの撃ったのかという質問に、『事実として間違いない』と答えたといいます。撃たれた2人は、不動産関係者とされ、県警は、計画的な犯行とみて動機などを聞く方針です」(大手紙の社会部記者)
じつは、亀谷容疑者は、任侠界では名前の知られた元ヤクザでもあった。警視庁で暴力団対策に当たっていた元警部補が振り返る。
「1997年に起きた有名な『スワット事件』では、五代目山口組山健組組長だった桑田兼吉が、ボディガードが拳銃を所持していたことで拳銃違法所持の共犯で逮捕され、2000年に東京地裁から懲役7年の有罪判決を受けました。長期の拘留で健康問題を抱えた桑田を面子にかけて保釈しようと、山口組は躍起になりました。そして、桑田の2度めの保釈が却下された2002年11月に事件は起こったのです。
当時、山口組佐藤組系の組長だった亀谷は、桑田の保釈が却下されたことで、東京責任者だった五代目山口組山健組系侠友会の金エイ充(えいじゅう)会長に都内ホテルに呼び出されました。そこで口論になり、亀谷が帰り際の金と運転手を路上で撃ち、殺人未遂と銃刀法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕されました。金には4発、運転手には2発、発砲しています」
口論になった原因には、銃撃事件の約7カ月前に起きた詐欺事件が関係するという。
「亀谷は、大阪高検の前公安部長の三井環容疑者による詐欺事件の共犯で逮捕されました。しかし、事件は亀谷の所有不動産をめぐる詐欺だったことや、検察側が示した三井容疑者との共謀性の証拠のほとんどが亀谷の陳述を基にしたものであったことから、亀谷は起訴猶予となり釈放されたのです。
そうした背景から、亀谷は検察にコネがあるからと、桑田を保釈させるための工作費と保釈金として2億円を侠友会から受領していたようです。しかし結局、桑田は保釈されないことになり、責任を追及されたことが犯行理由とされていました。とはいえ、たとえ桑田は病気でも検察官の職権で簡単に保釈できるわけがありません。当時、前公安部長の詐欺事件の立件に協力することで、桑田を保釈させる“密約”をした可能性はありますね。ただ、亀谷が殺人事件を起こしたことで、すべてが闇の中に葬られてしまいました。事実、2億円の行方もわかりませんから」(同前)
2004年、亀谷容疑者は、上告を棄却され、懲役20年の判決を受けた。それから約20年。亀谷は刑期を終えて出所したばかりだったというが、今回の射殺事件は以前の事件と関係があるのか。捜査の進展が待たれる。
