《水戸ストーカー殺人》「紛失防止タグ入りぬいぐるみを偽って送付」着拒された元カノを執拗に追跡、「殺害して人生リセットしたかった」法廷で明らかにされた恐ろしい経緯
茨城県水戸市の自宅アパートで2025年12月31日、ネイリストの小松本遥さん(当時31歳)が遺体で発見された事件。殺人とストーカー規制法違反の罪に問われた大内拓実被告(29)の裁判員裁判が、9月14日から水戸地裁で開かれている。24日の公判では、検察から拘禁刑21年が求刑された。
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14日の初公判では、小松本さんと交際関係にあった大内被告が別れを告げられたあとも執拗に接触を試みようとしていたことや、犯行に向けた周到ともとれる準備行為の実態が明らかになっていた。なぜ小松本さんの命が奪われたのか--初日の公判から順を追って振り返る。裁判を傍聴したライターの学生傍聴人氏がレポートする。【全5回の第1回】
交際解消の半年後に「LINEメッセージ」
水戸地裁第210号法廷。初公判で入廷してきた大内被告は濃紺のスーツに紺色のネクタイを締め、白色のマスクを着用していた。長身で筋肉質なガタイの良い体形に見えた。
裁判長の開廷宣言のあと、人定の確認が行われて検察官の起訴状の朗読に移った。
起訴状によると大内被告は2025年12月31日夕方ごろ、水戸市内のアパートで小松本さんの頭部をハンマーで複数回殴打し、頸部を包丁で突き刺すなどして殺害。さらに事件前、4日間にわたり、アパート付近をみだりにうろついたり、小松本さんの車のナンバープレートの裏側に紛失防止タグを無断で取り付けるなどのストーカー行為をしたとされている。
今日の初公判で、大内被告は起訴内容に「(間違い)ないです」とはっきりとした口調で罪を認めた。
初公判では検察側と弁護側の冒頭陳述や証拠によって、事件の全貌が明らかとなった──。
大内被告と小松本さんは過去に交際関係にあった。検察側によると、「2024年1月頃に交際を開始した。同年11月下旬、小松本さんから別れを告げられ交際が解消された」というが、それでも大内被告は関係を断ち切れなかったようだ。
同年12月頃、小松本さんはのちに入籍することとなる夫と交際を開始。2025年5月には念願だったネイルサロンを開業するなど、順調な人生を送っていた矢先の同年6月に大内被告から小松本さんのLINEにメッセージが届いた。
〈時間が経って自分の中で整理できたことがあって、ちゃんと話せたらなと思っている。無理なら無理でいいけど〉(検察側証拠から・以下同)
6日後、小松本さんは大内被告にこのようなメッセージを送っている。
〈別れて友だちに戻ったからといって前みたいに頻繁に会うつもりもないし、申し訳ないけど連絡先消させてもらう〉
小松本さんは、大内被告のLINEをブロックし、電話も着信拒否の設定にした。その後も大内被告は、計10回も架電をしたが、小松本さんからの応答は一切なかった。
勤務先に「出勤してるんすか?」
さらに、検察側は大内被告が「小松本さんの所在を探すため、半年間にわたって知人や同僚に尋ねるなどした」と指摘。まさしく執拗ともいえる手段が駆使されていたようである。以下では検察側の証拠に基づき、その一部を紹介する。
まず、小松本さんと上記のメッセージを交わした約2か月後。大内被告は、共通の知人にこうメッセージを送った。
〈相談なんだけど少し遥(小松本さん)と相談できないか連絡してくれないか〉
〈遥に会うのは難しいだろうけど、タラタラ話すより本人の口から聞きたいんだよね。口添えしてもらえると嬉しい〉
だが、小松本さんに連絡がつくことはなく、次なる一手に打って出たようである。小松本さんが勤務していた飲食店の店長が、捜査機関の事情聴取で述べた内容である。
「(2025年)10月初旬頃、店の外に出ると見ず知らずの男から『(小松本さん)いるんすか?』『(小松本さん)出勤してるんすか?』と声をかけられ、いないことを伝えると私に『インスタ交換できますか?』と尋ねられました。
私は男に名前を聞いてもはぐらかされ、その後1週間に2・3回連絡(インスタのDM)がありました。その内容は決まって、(小松本さんの)出勤状況を尋ねるものばかりでした」
さらに、大内被告は知人男性を連れてこの店を訪れたこともあったという。しかし、事件後の「2026年1月にインスタを確認すると、その男のアカウントは削除されていた」と回想していた。
他にも裁判では、同じように大内被告から小松本さんの所在を尋ねられたとされる3名の供述が読み上げられた。
伝票の差出人欄に「(株)オリエンタルランド」と記載
この出来事の数か月後、小松本さんは殺害された。詳細な動機は9月17日に行われた第2回公判で被告人自ら語られることになるが、14日の初公判では、検察側が冒頭陳述で殺害動機の形成について、このように指摘した。
「半年間、所在を探したが接触や把握に至らなかった。(小松本さんを)殺害して出会う前に戻り、人生をリセットしたいと考えるようになった」
この指摘への大内被告の真意は、初公判の段階では明らかにされていない。しかし、大内被告が殺意をもって犯行に及んだことは、罪状認否で認めているところである。さらに、検察側は冒頭陳述で、犯行態様の悪質さを強調するように、準備行為などについて触れた。
具体的に殺害の準備をはじめたのは、事件の5日前の12月26日。大内被告は、雑貨屋でミッキーマウスのぬいぐるみを購入すると、その中に自身のスマホと接続した位置情報が確認できる紛失防止タグを隠し入れた。そのぬいぐるみを段ボール箱に入れると、小松本さんの実家に届けた。その際、伝票の差出人欄に「(株)オリエンタルランド」と記載し、懸賞に見立てるために送付状も用意した。
〈ディズニーキャンペーンご当選の案内。アプリ会員様に当社より素敵な贈り物を贈呈します〉(送付状の内容。検察側の証拠より)
そして翌27日、小松本さんは実家からぬいぐるみを自宅アパートに持ち帰ってしまう--第2回記事では、位置情報を確認した大内被告のその後の動きについて詳報する。
(第2回記事につづく)
◆取材・文/学生傍聴人
