マンション修繕談合、定期的に業者選定会議・決まった業者は「チャンピオン」…工事費1億円超高くなったケースも
マンションの管理組合が発注する大規模修繕工事を巡り、公正取引委員会が設計コンサルタント会社と修繕工事会社の計42社の談合行為を認定した。
住民側に立つべき設計コンサルが、裏で工事会社と癒着していた実態が明らかになり、割高な修繕費を払わされたマンション住民らは憤りの声を上げた。(日下翔己、竹田章紘)
しわ寄せ
「癒着や談合で工事費用を好き勝手に決めていたら許せない」。数年前に行った大規模修繕工事が談合だったと認定された首都圏のマンションの住民はそう怒りをあらわにする。
住民によると、修繕工事費用は当初聞かされた金額より1億円以上高い5億円超に跳ね上がった。この工事で修繕積立金の大半を取り崩したため、以降は徴収される積立金が倍近くに上がったという。住民は「物価高騰が続く中で、積立金の値上げは苦しい。工事会社側には説明や補償を求めたい」と語気を強めた。
マージン
公取委の調査で、設計コンサルは管理組合からの報酬とは別に、便宜を図った見返りとして、工事会社から工事費用の5%をマージンとして受け取っていたことが明らかになった。
談合が認定された設計コンサルの元社員によると、設計コンサルと工事会社は蜜月関係にあり、工事会社側からのゴルフ接待や車の提供のほか、国内外のリゾートへの社員旅行の費用を肩代わりすることもあった。
設計コンサルの事務所では、毎月定期的に一部の工事会社の幹部らが集まる「業者選定会議」が開かれ、そこで話し合って工事を振り分け、決まった業者を「チャンピオン」などと呼んでいた。管理組合から委託を受けて清掃や設備点検などを担う管理会社が、住民を誘導して工事を回してくるケースもあったといい、工事会社は設計コンサルのほか、工事を回してくれた管理会社にもマージンを支払うことがあったという。
元社員は「談合ありきのビジネスモデル。長年続いてきたので、ほとぼりが冷めたらまた同じ構図になるのではないか」と語った。
「無責任」
公取委は昨年3月以降、各社に立ち入り検査に入って調査を進めてきた。ある首都圏のマンションでは、今回談合が認定された工事会社に昨年6月から大規模修繕工事を依頼していたが、立ち入り検査後に工事会社から契約辞退の連絡があったという。
改めて別の工事会社から見積もりをとったところ、3億円かかるとされた費用が2億円程度で収まる中身だった。住民らは「資材高騰もあるのでどれくらい上がるか不安だったが、前の見積もりがいかに無責任だったのかわかった」とあきれ気味に話した。
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公正取引委員会は28日、工事会社から設計コンサルに支払われるマージンが独占禁止法違反を誘発する恐れがあるとして、設計コンサルや工事会社が加盟する業界3団体に対し、注意喚起の申し入れを行った。
「大規模」費用 上昇続く 資材高騰 積立金不足の管理組合も
マンションの維持に欠かせない大規模修繕工事の費用は資材価格の高騰などを背景に上昇が続いている。
一般財団法人「経済調査会」が全国のマンションの管理組合を対象に今年行った調査では、1戸あたりの平均修繕費用は156万円で、2019年から36万円超上昇した。
国土交通省の推計では、全国の分譲マンションの戸数は25年末で約723万戸に上る。15年末から約100万戸増えており、修繕工事の需要も高まっている。
同省のマンション総合調査によると、大規模修繕工事は12~15年周期で行われるケースが多かった。長期修繕計画で想定している額に比べ、修繕積立金が不足している管理組合は3割超に上っていた。
管理組合が修繕工事の契約を結ぶ際に注意すべき点について、マンション問題に詳しい佐藤元・弁護士は、談合やマージンの支払いといった不利益行為を行わないよう誓約させ、発覚した場合には、違約金を求められるよう契約に条項を設けることを挙げた。その上で、「修繕工事は自分たちの資金を使うということを自覚して、所有者が当事者意識を持って関わるべきだ」と指摘した。(小林岳人)
