[9.28 キリンチャレンジカップ 日本 2-1 ベネズエラ Eピース]

 日本代表対ベネズエラ代表は思わぬ幕切れとなった。1-1で突入した後半アディショナルタイム、一度はベネズエラがPKを獲得したもののVARが介入。映像を見た主審は日本にPKを与える判定へと変更し、このPKを決めたFW上田綺世のゴールが決勝点となって日本が2-1で勝利した。

 最終盤にドラマが待っていた。後半45+1分、日本はMF久保建英が右サイドからペナルティエリア内に侵入して折り返すと、こぼれ球を拾った久保がMFヤンヘル・エレーラと接触して転倒。主審はノーファウルと判定する中で久保はPKをアピールしていた。

 それでも試合が続くと、速攻を仕掛けたベネズエラのFWヘスス・ラミレスがDF鈴木淳之介にペナルティエリア内で倒された。主審はこのプレーで笛を吹き、ベネズエラにPKを与えた。ところがPKが行われるのを前にVARが介入。主審は久保が倒れたシーンを遡って確認してファウルを受けていたことを認め、PKを行うチームをベネズエラから日本へと変更する珍しい判定変更を行った。

 VARは「ベネズエラが得たPKが正しいか」としてファウルに繋がる一連の攻撃の流れでベネズエラの反則がないか、「アタッキング・ポゼッション・フェイズ(APP)」と呼ばれる区間を確認する運用になっている。今回はその反則がたまたま日本がPKを獲得するものだったため印象的なものになったが、直前に攻撃側がファウルをしていないかをチェックする原則と同じ。もっともラミレスが倒れたシーンとの距離的な遠さや時間的な長さから、審判員によっては久保が倒れたシーンをベネズエラの攻撃の一連の流れとは考えない可能性はあったかもしれない。

 だが、VARは久保が倒れたシーンを「ベネズエラが得たPKは正しいか」ではなく「日本がPKを獲得すべきか」という見方でもチェックしなければいけない。この場合は時間的にどれだけ前であっても、またどれだけ距離が離れていたとしても同一のインプレー内であれば遡ることが可能。たとえばベネズエラのPK獲得ではなくスローインでプレーが終わっていた場合でもVARは久保が倒れたシーンを確認することになっていた。ただ、久保のファウルを取らない場合はベネズエラのPKになる最終盤の大きな判定になるため、慎重な確認が行われた可能性は考えられる。

 その上で今回はベネズエラがPKを獲得する前に日本がPKを獲得すべきシーンが発生していたため、先に起きていたベネズエラのファウルを取って日本にPKを与えることになった。したがって競技規則上でも適切な判定だった。

 ただ結果的にPKの獲得チームが反対になる珍しい事象だったこともあり、ベネズエラ側は納得しきれていなかった様子。試合終了の笛が鳴ると審判団に詰め寄る選手もおり、審判団はスタッフに守られながらピッチを後にしていた。