FBS福岡放送

写真拡大 (全15枚)

福岡市西区で9月20日、3歳の男の子が飲酒運転事故に巻き込まれ、命を奪われました。またも繰り返された痛ましい事故に、27年前、飲酒運転の車によってわが子の命を奪われた父親は、悔しさをにじませています。

福岡県警は25日、福岡県糸島市で飲酒検問を実施しました。“飲酒運転”によって幼い命が奪われた痛ましい事故を受けたものです。

福岡市西区小田で20日、軽乗用車が大型バイク3台に追突し、はずみでバイク1台が近くにいた男の子に衝突しました。

大山晴瑠(はる)ちゃん(3)。この事故で頭を強く打ち、病院に搬送されましたが、翌日の朝、亡くなりました。

■母親
「いつもニコニコしていて明るい子でした。」

明るい(晴)、宝物(瑠)。両親は、そう願いを込め「晴瑠」と名付けました。

事故に巻き込まれたのは、家族3人で自宅のある大分から佐賀に向かう旅行の途中でした。

母親が最後に記憶しているのは、立ち寄った飲食店でソフトクリームを食べたことです。

『チョコソフトください。』

3歳の晴瑠ちゃんが店員に敬語を使えたことに喜びを感じたといいます。

■母親
「最近は文字を少し読めるようになったりもしたので、文字を読むこともすごく楽しかったみたいで。」

晴瑠ちゃんを看取った後、両親は、わが子の命を奪った原因が“飲酒運転”だと聞きました。

■父親
「(容疑者に対し)謝ったりはしてほしくないなと。謝るのは、少しでも許されようという気持ちからだと思うので。ただ、私たちはこうして息子を失い、生きていることを、今後の人生の中で何か良いこと悪いことがあったたびに思い出してくれればいいなと思っています。」

事故を起こした軽乗用車を運転していたのは、福岡市西区の無職、大神正治容疑者(68)でした。

呼気からは1リットルあたり0.99ミリグラムのアルコールが検出され、危険運転致死傷の疑いで送検されています。

「自宅で前日の夜と、当日は朝からワインや焼酎を飲んでいた」「買い物に行くため運転をした」といった趣旨の供述をしているということです。

また、飲酒運転によって奪われた命。

事故の知らせを聞いて、悔しさをにじませる男性がいます。

■大庭茂彌さん
「いたたまれない。なんでと思う。こんなにもいろいろなところで、飲酒運転はいけない、犯罪だと言われながら。どういった気持ちで運転していたのだろうと。」

福岡県糸島市に住む大庭茂彌さん(79)です。

27年前、飲酒運転の車に娘の命を奪われました。

当時、大学3年だった娘の三弥子さんは車を運転中、対向車線から飛び出した飲酒運転の車に正面衝突され、一緒にいた友人2人とともに亡くなりました。

事故後、大庭さんは20年近く、全国各地で飲酒運転撲滅を訴え続けてきました。

2012年には、大庭さんら遺族の声を受け、飲酒運転を繰り返す違反者にアルコール依存症の検査を義務づける、全国初の罰則付きの条例が可決されています。

■大庭さん
「じっとしておくわけにいかない。娘たちのことを考えたら、親としてできることをしないといけない。」

娘の死を無駄にしたくない。

大庭さんは、その一心で「飲酒運転ゼロ」にするために活動を続けてきました。

それでも後を絶たない惨劇が、大庭さんの胸を締めつけます。

■大庭さん
「腹が立ってしょうがない。加害者は生きているから。それで被害に遭った人が亡くなってね。前途ある3歳だからね。そういった人の人生を奪うもの。」

大庭さんは、飲酒運転をする本人だけの問題に限らず、社会全体で「ゼロ」に向けて取り組み続けることが必要だと訴えます。

■大庭さん
「自宅で誰か気づく人がいなかったのか。止める人がいなかったのか。それと車を運転している時に誰かが気がついて、『フラついている』と止める人が周りにいなかったのかと。やはり、みんなで見逃さないことを徹底していかないと。」

車が人の命を奪う飲酒運転。

次に命を奪われるのは、あなたやあなたの大切な人かもしれません。

※FBS福岡放送めんたいワイド2026年9月25日午後5時すぎ放送